農水省のプロジェクト「SDGs対応型施設園芸 事例普及事業」に参画しました
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弊社は農水省の令和4年度の「施設園芸事例普及プロジェクト」に参画して、全国で好成績をあげている農家の皆さんを訪問しました。
その中でも「この農家さんの考え方は素晴らしい、他の参考にもなるのでは」と感じたのが、兵庫県加西市にある「よしよし畑」さんです。
2018年に、元会社員だったご主人がと家族と一緒にここへ移住して、新たに始めたのが「よしよし畑」です。就農4年目ですが年々規模と収益を伸ばしており、いわゆる元気な施設園芸を代表するような農家さんです。
プロジェクトで訪問した際は、まず皆さんに「どのように農業を営まれているのですか?」と聞きます。驚いたのが「よしよし畑」さんの回答でした。
「理想像を定義しないことには、そこにたどり着けません。今の農業は、それができていないのが一番の問題だと思います」
通常、皆さんにこの質問をすると、作っている作物の種類や苦労について話してくれます。しかし、ここで切り出されたのは農業における定義についてです。すぐに「あっ、普通の農家さんとは違う」と感じました。
「よしよし畑」さんは、ご家族とパートさん合わせて13名で営んでいる農業法人です。施設でトマト、ナス、ほうれん草、トウモロコシ、ピーマンなどを育てています。
人を雇って運営するときに皆さんが苦労するのは、メンバーの意思疎通と目標の共有です。「よしよし畑」さんでは、ここで明確な定義を出してメンバーの意識を統一しています。
「自分たちの会社は、食品工場である」
これが「よしよし畑」さんが掲げる定義です。自分たちがどんな農業をしたいか、どんな農作物を消費者の皆さんに届けたいか、店舗や卸にはどのような約束をするか。
それがこの定義に詰まっているので、みんながブレずに1つの農業目標に向かうことができています。この定義づけが「よしよし畑」さんの強みです。
農業のような第一次産業は天候などに左右されやすい産業です。しかし、「よしよし畑」さんではあえて食品工場である自分たちを自覚して、以下のような運営を心掛けています。
例えばケーキのような製品なら、泥つきで洗う手間をかけるような売られ方はしていません。野菜も同じ、使いたい人がすぐ使えるような仕様で売場に出します。
スーパーなどは販売計画と連動して農家へ発注をかけています。だから農家も一度約束した数値は必ず守る。単なる目標値ではなく、守るべき契約数だと捉えています。
職場をきれいに、と伝えても想像するレベルは人それぞれです。しかし「守食品工場としての農業」と定義すると、どのくらいの清潔度をめざすのかが皆に即座に伝わります。
目指す農業を明確に定義するほか、あと2つの要因が「よしよし畑」さんの経営を支えています。
「食品工場」とも重なりますが、パッケージなどの統一、SNSでの展開など、消費者に向けて姿勢を積極的に直接伝えてます。
需要がある場所を選べるのは、移住農家の最大のメリットかもしれません。「よしよし畑」さんも大消費地に近い土地を選んだといいます。
ただし、上記の2点も基盤となっているのは「定義=理想像」です。
他の農家さんでも、「うちは何をどう提供するか」、特に「お取引先とどんな数値を約束するか」を決めるのはとても有効です。そして、収穫を終えたらきちんと守れたかを検証してみてください。
もし天候不順などで収穫量が落ちたとしてもカバーできるように、予想最高値の7割ほどを「約束できる数値」に設定するのがコツです。「よしよし畑」さんでは数値が持つ良い強制力を活用して、元気な施設園芸を実現しています。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています