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人手不足や社会貢献などの観点から農福連携を進めたいと考えている方は少なくありません。
実際、私たちは農福連携を進めようとしている中小企業、農林水産省のプロジェクトの一環で農福連携に取り組んでいる農家さんらを支援してきました。その経験を通して、さまざまな知見を得ることもできました。
このコラムでは、農福連携に着手したいが「どうすればうまくいくのか」「障がいを持つ方は本当に農作業ができるのか」という不安を抱く農家さんに、取り組むメリットや成功の秘けつをお伝えします。
ぜひ、参考にしてみてください。
農福連携を進める前に、押さえておくべき前提条件があります。それは立地と収益性です。
立地については、障がいを持つ方が住む場所と、実際に作業する農地が近いところがベストです。
移動に時間が掛かってしまうと、それだけで障がいを持つ方の負担になり、継続が困難になってしまうからです。同時に、送迎をサポートする立場の保護者や施設職員の負担も大きくなってしまいます。農家さんが送迎するケースもあるため、移動距離は考慮しなければなりません。
また、利益が上がらなければ工賃は払えません。こうした事態を避け、お互いが気持ちよく仕事を続けるためには収益が見込めるかどうかを考えることも大切です。
前提条件を成立させた上で、農福連携を成功させるためには「触れ合い」「マニュアル化と体験」「契約と事業計画」の3段階を踏む必要があります。
どれも極めて重要なポイントです。一つずつ解説していきます。
多くの農家さんは「本当に作業できるのだろうか」と感じています。しかし、障がいを持つ方々は、教えればたくさんのことができるようになります。
当然、障がいの程度によって差はありますが、重度の障害をお持ちの方であっても、できることはあります。既成概念を取り払い、彼らのポテンシャルを知るために、触れ合いは非常に重要です。そうすれば「この作業だったらやってもらえるかも」といった発見が必ずあります。
交流するのが難しい場合は、福祉施設を見学することをお勧めします。
触れ合いを通して相互理解を深めたら、実際に農作業を体験してもらうことが大切です。ただ、障がいを持つ方は初めての農作業に不安を抱いていることが少なくありません。
どういう作業をどう進めればいいのかを事前に言語化、マニュアル化しておくことが重要です。
マニュアル作成のメリットは、障がいを持つ方々の不安を解消するだけではありません。彼らをよく知っている福祉施設の職員さんが、あらかじめ作業内容を伝えたり手順を教えたりしてくれることも大きなメリットです。
また、忘れてはいけないのが保護者も一緒に体験してもらうことです。保護者は、わが子がどういう所でどういう仕事をするのか心配されています。体験に参加してもらうことで不安を払しょくし、信頼関係が構築できます。信頼関係ができ、作業をマニュアル化していると、保護者が自宅で教えてくれる場合もあります。
農家さんが1人で教えるのと、障がいを持つ方の特性を十分に理解している保護者や福祉施設の職員さんが教えてくれるのとでは、習熟度に圧倒的な差が生じます。マニュアル化と体験によって、関わる全ての立場の人を巻き込んでいきましょう。
最後は、農福連携を現実的に進めるために、契約を交わすという段階です。どういう時間でどういうふうに働いてもらうのか、工賃はいくら払うのか。こうした内容に加え、万が一の事態を想定し、事故が発生した場合はどうするのかということも契約書に盛り込む必要があります。
契約を締結すると同時に、事業計画を立てておくことも大切です。障がいを持つ方の経験値が高まるには、時間が掛かります。それに伴い、収益化にも時間が掛かります。
短期と長期の両方の計画を立てておくべきです。
また、事業計画の一部として教育計画を策定することも求められます。障がいを持つ方のスキルが思うように向上していないのであれば、計画を見直し、更新していきましょう。
後継者不足に加え、コロナ禍によって外国人技能実習生の受け入れが難しくなり、農業分野の人材不足は加速しています。一方、医療技術の発展などによって障がいを持つ方は増えています。
福祉施設側は、利用者の就労場所を見つけてあげたいという想いを抱いています。障がい当事者にとっても、自分で働き、工賃を得ることは豊かな人生を送る上でプラスに働きます。また、保護者がわが子の幸せを願うのも当然です。
こうした4者のニーズを満たす選択肢として今、農福連携が注目されています。
農福連携に取り組んでいる農家さんには、当然ですが一緒に仕事をする仲間が増えます。農家さんは、その仲間が楽しそうに作業に励む姿を見ることによって、嬉しそうに仕事をしてらっしゃいます。
農業は大変な仕事です。暑くても寒くても仕事をしなければなりません。力仕事だってあります。
けれど、苦労の末に仲間と収穫を迎える。その喜びを共に味わうことができる時間というのは、農家さんはもちろん、障がいを持つ方々のやりがいになっています。
農福連携の需要があるにも関わらず、それが進まないのはお互いをよく知らないからです。だからこそ、上記でお伝えした通り、触れ合いと体験が極めて重要になるのです。これらのプロセスを踏んでいないと、できないことばっかりに目がいっていまいます。
障がいを持つ方々は教えたらできるようになる。これを理解していただけると幸いです。
また、マニュアル化、契約内容や事業計画の検討に関しては、私たち中小企業診断士が得意としている業務です。農福連携をお考えの方はお気軽にお申し付けください。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています