失敗しない!新しい外注先の探し方、見つけ方

統括研究員 谷川大致
監修・執筆統括研究員 谷川大致
失敗しない!新しい外注先の探し方、見つけ方

製造業は、必ず協力関係を結んだ外注先を持っています。
研磨・溶接・旋盤などの加工、組立・搬入・据付、保管・配送などをお願いしているところもあるでしょう。

「下請け」と呼ぶ向きもありますが、自社製品のポイントを熟知してもらい、一緒に工夫してきた大切な歴史もあると思います。

しかし、いつまでもそのパートナーが存在するとは限りません。

近年は経営者の高齢化により、事業承継されないまま会社が消えてしまうこともあります。経営状態の悪化から閉じてしまう会社も出てきました。
そうなってから新しい取引先を探すのは非常に困難です。社会状況から考えて「いつかこの外注先が変更になる」と想定し、今から手を打っていきましょう。

うまく進めるコツは【新しい外注先は、探すのではなく「作る」こと】です。

全てが同条件の外注先は存在しない、と考える

よくあるのが、今と全く同じ条件で引き受けてくれる会社を探そうとする失敗です。
現在まで取引をしている会社は、おそらく長い交流があり、部品や機械の改良を一緒におこなってきた関係があるのではないでしょうか。

5年付き合いがあれば5年分の改良の歴史、10年付き合いがあれば10年分の景気の波をお互いに知っている仲です。
はっきり言って、この会社と同条件の会社は他のどこにも存在しません。自社の歴史まで全てを飲み込んでくれる外注先は、これから作るしかないのです。

では、新たなパートナーとなる外注先を見つけるには、どうすればいいのでしょうか。

①外注先に求める能力やサービスを言語化する

第一に手がけるのは、どんなことを外注先に求めるのか明らかにすることです。
価格面だけでなく、設計力、加工能力、納期対応力、変更への柔軟な対応力などの要望を棚卸しします。

今はどの製造業でも単純作業で終わる工程は少なく、仕様や形状はより複雑化しています。
馴染みの外注先なら阿吽の呼吸で伝わっていた工程には、ノウハウが詰まっているはずです。

だからこそ作業や工程を振り返り、手順書や図面として明らかにすることが重要です。
外注先に、初めての仕事でもこれならできると思ってもらうのです。

留意点は、外注先の不安感の払拭を念頭に置くことです。指示が不明確では、外注先は期待に応えたくても要求仕様を満たせません。
せっかく作業を行っても、代金を支払ってもらえないのではないかと不安がよぎります。その不安を消すような手順書や図面を作りましょう。

②今の外注先から情報をもらう

今までの外注先が手掛けくれた工程には、我々が知らないノウハウが詰まっているはずです。
手順書や図面を作る際は、今お世話になっている外注先に頭を下げて、製造のためのポイントやコツを聞いてみてください。
新しい外注先に求める技術力・生産能力の手がかりになります。

また、カギとなる技術や能力を持っている他社がいないかも聞いてみましょう。
「あの会社ならできるかも」と教えてくれる場合があります。こちらで一献設けてお酒を飲みながらフランクに聞くのも良いと思います。

③外注先の出入り業者に話を聞く

外注先に出入りしている他の製造業・銀行・運送会社などにもヒアリングすると、似た技術や能力を持っている会社を知っているかもしれません。
やみくもにネット検索するより、はるかに精度が高い方法です。

スモールスタートから、関係を構築していく

ここなら、と思う会社が見つかったら、小さな作業から依頼していくのが賢明です。
お互いに「この会社は何を大切にするのか」「納期や予算の無理はないか」などを見極め、その後、徐々に本来頼みたい複雑な工程を相談していきます。

そのとき大切なのは、新しい工程を手がけてもらうための予算・時間を惜しまないことです。
私たちにとって真剣な取引・検討だと伝えるために最も大切で、手を抜いてはいけない部分です。これらはコストではなく、将来へ事業をつなげる投資だと考えましょう。
価格交渉を急いではいけません。

パッと探してパッと外注先が見つかることはないのです。
依頼したい内容を明確にして、条件が合う会社がないか周辺から聞き込み、実際に依頼してお互いに検討する。今後、新たに5年、10年の関係を築きたいのであれば、これを実践できる期間が必要です。

もし「そろそろ廃業するかも」と思う外注先が浮かんだら、上記①〜③を今すぐ始めてください。そのときが来る前に準備を済ませておきましょう。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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