ムリ・ムラ・ムダの削減

統括研究員 谷川大致
監修・執筆統括研究員 谷川大致
ムリ・ムラ・ムダの削減

近年の農業では「ムリ・ムラ・ムダ」が課題となってきました。引き金となっているのは最初にくる「ムリ」です。

現在、日本の農業では130万人が働いていると言われます。しかし年々11万人ずつ担い手が減り、このままでは農家はいなくなってしまうのではとも危惧されています。
それに伴って現場で起こっているのは、耕作できなくなった年配者などが地域の若手に耕作地を譲る現象です。若手は先輩からの頼みを断れず手持ちの耕作地を年々増やしています。

ただし働ける人数はすぐには増えません。4人家族なら4人で、前年より1.2倍や1.5倍になった農地を耕作しなければいけないのです。そこでどうしても「ムリ」が生まれてしまいます。

農業での「ムリ」は新たな「ムラ」を生み出します。例えば本来撒くべき肥料が撒き切れない、ある土地だけ撒き忘れてしまうという「ムラ」もあるでしょう。刈り入れ時期が限られているのに刈り切れず、適切な時期を逃してしまうこともあります。

「ムラ」ができた農地では「ムダ」ができます。規格外となって出荷できない農作物が増えてしまうからです。耕地面積が増えたのに収入が増えない、むしろ手間が掛かって農家が疲弊してしまう、そんな状況が頻発しています。

そこで注目されているのが、農機具の最適化と自動化です。活用すれば同じ耕地面積と人数で収穫量を増やせます

自動操舵が可能な田植え機・コンバインはすでに登場しています。今ある機材にオプションで付けられる装置もあるので、思ったよりもリーズナブルに利用できます。耕作と同時に肥料を撒く場合でも、自動操舵なら畝を重ねずにぴったり沿わせることができるため、肥料の量的・費用的な「ムダ」が省けます。

管理面では農業専門に開発されたアプリが数多く出ています。ノートやExcelで自己管理するより、もっと手軽に分かりやすく耕作地の全体像を把握できるはずです。

ロボットの収穫機などはまだまだ開発中ですが、研究者と協力して先取りする価値はあると思います。私からも条件に合った開発者にマッチングすることが可能です。

人を増やすのは大変ですが、技術の進化にはそれをカバーする力があります。農家の皆さんにも取り入れてほしいのと同時に、ぜひ農協の皆さんも導入を勧めてほしいと思っています。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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