ムリ・ムラ・ムダの削減
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製造業の機械には必ず定期保全のタイミングが訪れます。
多いところでは月1回ペース、最低でも年1回ペースでお客様が運用している機械をチェックするのではないでしょうか。
サービスとして当たり前であり、ひょっとしたら「定期的に訪問しなければいけない」と面倒に感じる方もいるかもしれません。
しかし営業から考えると定期保全の機会は絶好の接客チャンスです。
とても自然な形でお客様を訪問でき、詳しい情報をもらって、提案までを行えるからです。
メンテナンスには定期保全のほかに予知保全があります。
大きなトラブルを未然に防ぐ重要な施策であり、同時に利益率を上げる営業戦略の一環として組み込めるものです。
産業機械はハードに使い続けることが前提です。
特に大きな故障はなくても、使い続ければ必ず劣化・摩耗・交換などが発生します。
このような使用上起こり得るトラブルや不具合を定期的にカバーするのが定期保全です。
定額メンテナンスサービスを構築するときは、お客様の使用状況に合わせたメニュー設定が必要です。
考えられるのは、以下のパターンの掛け合わせです。
Aという取引先が「2年目/ヘビーユーザー/振動が多い環境」であれば、それに見合うチェックメニューができます。
Bという取引先は「6年目/ライトユーザー/高温設備に近い」のであれば、Aとは違うチェックメニューができます。
メンテナンス員は必ずこのメニューに即して作業を行うようにします。
条件によるパターンを定めておくと現場での提案や作業で迷わずに済みます。
継続すると定期保全データの比較もしやすくなり、次の開発や改善へ向けた検討材料としても役立ちます。
こういった定期保全はメンテナンスの基本です。
その上で突発的なトラブルを防ぐために行うのが予知保全です。
故障や不具合が起こってから呼ばれるのは事後保全ですが、メンテナンス事業としてはなるべく避けたいシチュエーションです。
なぜなら突発的な対応は他のスケジュールを狂わせ、担当者も余裕をなくしてしまうからです。
トラブルの箇所が確定しないまま駆けつける場合、必要な部品取り寄せに時間がかかったり、作業に焦ったりします。
このような無駄なコストを避けるためにもしっかり行いたいのが予知保全です。
予知保全ができれば、メンテナンス員の行動効率がとても良くなります。
あらかじめ決めたスケジュールで手早く訪問でき、摩耗や交換なども予測がついて心理的にも楽だからです。
実際に現場を訪問することで、自社の機械以外の環境や稼働状況も分かります。
それが新しい気づきや提案につながり、お客様との対話で信頼を得られるようになるのです。
ただ、現場を回るメンテナンス員だけで万全の体制ができるわけではありません。
現場で気づいたことを気軽に提案し、売上につなげる工夫が必要です。
それは本部や事務方がフォローするとスムーズです。
具体的に考えられるのは以下の方法です。
必要書類を書くのが面倒で提案しにくいことがあります。
そのハードルを下げるために、名前・日付・必要な施策を書き込むだけで整う文書ひな型をたくさん作成しておくと有効です。
「これを使うとこんな効果がある」という文面だけでなく「これを使い続けるとこれだけ損失が出る」という文面もあると便利です。
1回きりの保全で状況を把握するのは困難です。
機械のパラメーターや数値などの変化の推移が分かれば、メンテナンス員が「今後はこうなるだろう」と予測を立てられ、現場での作業でも役立ちます。
時系列に沿ったデータを整えておくのは非常に大切です。
時系列のデータを取るために記録装置を新たに取り付けるのもおすすめです。
初期費用はかかりますが、管理・分析・事故防止には効果的で、コストはすぐに回収できます。
また、人が確認するよりも少ない手間で有効なデータを集められます。
まだ不具合が目に見えないときは、つい油断してしまいます。
気づいても「まだ大丈夫」と放置することもあるかもしれません。
しかし予知保全によって不具合が小さいうちに対処しておけば、後々の大きなアクシデントが確実に防げます。
数千円のパーツを交換したおかげで、数十万円の損失を回避できるケースは多々あるのです。
突発的に起こる業務はさまざまな無駄を生んでしまいます。
保全は予期しないトラブルを減らすために欠かせない作業です。
見て見ぬふりをするのではなく、積極的に見つけて小さなうちにつぶしていくのが肝心です。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています