ムリ・ムラ・ムダの削減
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お客様と信頼関係を築くのは、営業職だけの仕事ではありません。
なぜならお客様が本当に欲しているものは「機械」ではなく、その機械を使って得られる「効能」だからです。
例えばボイラーを購入したなら、お客様が欲しいのはそこから発する蒸気や熱源です。フォークリフトを購入したなら、お客様の真の狙いは運搬の効率化です。
日々運用しながら機械の性能を生かし、ランニングコストを抑えつつ、安心して長く使えるようにする。
そのための工夫や努力はお客様が求める「効能」の一部であり、主にメンテナンスがフォローする領域です。そして、実践できればお客様から信頼をいただける確実な方法だといえます。
では、どうすればそれが実現できるでしょうか。
突発的なトラブルや故障が起きた場合、メンテナンスには2つの対応タイプがあります。
すぐ現場に駆けつけるだけが最良とは言い切れないので注意しましょう。
パソコン故障の対応デスクでは、まず「コンセントに差しているか」「ケーブルはつながっているか」などの基本を確認するといいます。
意外とこの種の単純ミスは多く、気づけばすぐ解決できるポイントだからです。
製造業の機械も同じです。問い合わせを受けた際に「このスイッチはどうか」「この栓は閉まっているか」など、ありがちなヒューマンエラーについて尋ねてみてください。
わざわざ出向かなくても「この赤色のスイッチをオフに」「右側にある小さなバルブを少し開いて」などの指示で、お客様の手によって解決するケースがあります。
「上手なメンテナンス員は口で直す」ともいわれるのは、これを実践できる人だからです。
Aの口頭での解決が難しい場合、現場へ行って状況を確認し、修理などを行います。ただし、実際に手を動かさなければいけないBの方法は、メンテナンスにおいて「最終的な手段」と捉えるべきです。
メンテナンス事業にとってベストなのは「人が出向いて作業する回数/故障した箇所を直す時間/必要になる部品」を最小限に抑えることです。
現場での修理対応はどうしてもこれらを発生させてしまい、時間や費用などのコストがかさみます。
だからこそBを多く発生させないよう、日々のフォローを行うのがメンテナンスの大切な活動になります。
修理対応よりこのフォローのほうが大切だといってもいいくらいです。
では、どんなフォローを行うとBを避けられるのでしょうか。
避けるための対策は以下の2つがあります。
機械は購入して置いただけで運用できるものではありません。
消耗品の補充やフィルターの点検、エンジンオイルの補充など、使えば使うほど相応のケアが不可欠です。
壊れにくい・故障しにくい機械は、このケアがしっかりしています。
これらのケアについては事前にお客様に明確に伝え、協力していただくのが一番です。
ひょっとしたら現場では面倒だと思われるかもしれません。
しかしこの一手間を実践するだけで故障停止の確率や、重大な事故につながる確率がグッと下がります。機械も長持ちするので購入までの期間が延長できるでしょう。
このメリットを説明して「ケアをしたほうがいい」と思ってもらえるようにします。
実現すれば、メンテナンス員が出動しなければいけないトラブルはかなり減るはずです。
出向いて対応せざるを得なかったときも、今後の修理対応を減らすための良い機会と考えます。
なぜなら、起こったトラブルについて原因と効果的な予防法を詳細に伝えられるからです。
修理のかなりの割合は「正しい使い方をしていない」という原因で発生します。
今回のトラブルはなぜ起こったのか、また、それを再発させないために普段からどうすればいいか、現物を前に伝えられます。
大切なのは、監督者・リーダーなども同席してもらうことです。
現場判断だけでは対応できない方策も、責任者がいれば確認して具体的な予防につなげられます。
そのほか、私たちでもできる対策としては以下も有効です。
厳しいようですが、下記の点も事前にお伝えしておくことをおすすめします。
お客様も私たちも、共通目的は「機械を長く安全に使って利益を上げること」です。
そのために欠かせない手順や情報は惜しみなく提供し、必要な部分ではお客様のご協力をいただきながら運用する。それがお互いの信頼関係を築く一番の近道だと考えます。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています