ムリ・ムラ・ムダの削減
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前回は、ボイラー製造販売の最大手・三浦工業株式会社の営業手法を紹介しました。
シェアトップを走り続ける強みは技術力だけではありません。製造業なら必ず発生する「メンテナンス・保守」を重視し、利益を生む1事業として営業活動に組み込んだのが最大の理由です。
では、私たちはこのビジネスモデルをどうやって自社へ移植すればよいでしょうか。
今回は、利益率を上げる第一歩として、収益を生むメンテナンス部隊の作り方とメリットをお伝えします。
「うちは製造業だけど、そんなメンテナンス部隊まで必要かな」
そう思う方もいるかもしれません。しかし、私たちは【製品故障が起こりうるなら、必ずメンテナンス部隊を作るべき】と考えます。
なぜなら、故障時は絶対に人・モノ・お金・時間などのリソースが削られると確定しているからです。
必ず起こるアクシデントなのに、都度対応していては非効率です。
それならあらかじめ予測し、人とモノの準備を進め、最も無駄のない動きができるように設定したほうが得策です。
設定の過程ではサービス内容を明確にするので、属人的な無償対応がなくなり、作業対価は確実に回収できます。これも会社にとって大きな魅力といえます。
また、メンテナンス部隊を組織するとメンバーの役割分担が明確になり、お互いの働きに無駄がなくなります。
例えば現在、故障が発生したら「開発メンバーが臨時的にメンテナンス対応を行う」「技術を知っている営業が都度対応する」などの体制になっていないでしょうか。
メンテナンス部隊があれば、故障時の対応は彼らに任せられます。定期訪問で故障前対応も可能なので、部品代や人件費は大幅に削減でき、お客様がラインを止める確率も下がります。
突発的なアクシデント対応がなければ開発チームは製品改良に集中し、営業チームは新規開拓へ専念できるでしょう。
改めて社内を「営業/開発/メンテナンス」の3チームに分割するのは大変ですが、一度組織すれば開発力まで上げられるのです。
メンテナンスに向いているのは、手を使って機械を動かすのが好きな人です。
営業や開発部門でも適性が高い人がいます。
新卒や中途採用でも、前職の業界にかかわらず「機械いじりが好きな人」であれば積極的に採用してください。
専門知識は後から教育できますが、モノへの興味は育てることができないからです。
修理や改造が趣味の人も向いています。
人数については営業職よりも多く用意すべきです。ちなみに三浦工業の「営業:メンテナンス」の人員比率は「1:10」ほどです。
また、企業によって「どんな料金なら利益を出せるか」も変わるので、現状を分析してサービスの適正料金を算出します。
このサービスのカギは、以下の価格設定と実行にあります。
部品代+修理代+出向代+定額メンテナンス保証費用=支払い金額
この「定額メンテナンス保証費用」をいくらにするかが重要です。
保証期間を3年とするなら、お客様にとって「3年間無償対応してもらえるなら高くない」料金で、なおかつ自社にとって「3年間で予想される部品代+人件費よりも多い」料金にしなければいけません。
そのためには、メンテナンス部隊の人員準備と同時期にメンテナンス履歴を確認し、保証期間(この例では3年間)の予想費用を算出しましょう。
現在のお客様の中で「典型的なA社/たまにあるケースのB社」を抽出し、実際に起こった故障・修理・取替をチェックします。
その際に誰がどれくらい時間をかけて対応し、どんな成果を得たかも一覧にします。人件費なども算出するためです。
実は、機械を使うお客様にとって、複数年の無償対応サービスはとても魅力的です。なぜなら故障のたびに上司の決裁を仰がずに済み、煩雑な社内手続きもほとんど要らないからです。
その手間や面倒が大変なので、営業すれば多少のコストがかかっても「定額メンテナンス保証」には興味を持ってもらえます。
だからこそ自社にとっても損をしない(強気の)費用設定が大切です。
① 社内メンバーを「営業/開発/メンテナンス」に分ける
② 故障履歴から、保証期間にかかるメンテナンスコストを算出
③ 自社が損をしない「定額メンテナンス保証」費用を設定
④ 必要な人員を配置、メンテナンス事業として運用開始
まだ何も準備がない会社でも、上記の流れをたどればメンテナンス部隊を組織して効果的な運用が始められます。
期間としては1年ほどあれば実装可能だと考えています。
自社だけでは組織作りが難しい場合は、ぜひ私たちに相談してください。
ヒアリングの上でロードマップを策定し、メンテナンス部隊が利益を上げられるところまでお手伝いします。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています