ムリ・ムラ・ムダの削減
ビジネスの世界で「外注(アウトソーシング)」を利用する場面は日常になりました。しかし、農業ビジネス界隈、特に農協では経験者やベテランの知見が生きることもあり、積極的には利用を検討していないかもしれません。
ただ、従来のように「今いる職員」だけですべてをこなすのは難しくなっています。合併による人員整理、若手職員の減少など、現場で人手が不足する傾向は今後も続くと思われます。
また、技術の高度化が進み、職員の皆さんも新しい情報やスキルをどんどん取り入れる必要に迫られています。このような負担増が予想される中で私たちが改めて提案したいのが「外注」の活用です。顧客ニーズに柔軟に対応できる範囲も、自前主義でまかなうより「外注」のほうが幅広くとれます。
新しい人を採用したいとき、以前であれば知り合いの紹介や声がけで人が集まりました。貼り紙だけでも人が来た時代があったといいます。しかし今は人事担当者が奔走しても採用に至るまでが困難です。
せっかく農業の専門知識を持っている職員なのに、採用業務だけを任せていては非常に惜しい。こんなときは人材採用専門の「外注」を利用したほうが、本来発揮すべき職員のスキルを生かせます。
人材育成についても同じです。以前は余裕がある先輩がOJTで教えていましたが、今はそれほどの時間が持てません。これも人材育成の「外注」に依頼するほうが、皆が本業へ注力できます。
人材育成カリキュラムは、集合研修を取り入れているものがおすすめです。なぜなら最近は孤独感を感じる職員が増え、職場での人とのつながりに不安がある人が多いからです。「研修」という名目は、普段は離れている職員同士の会話を生む良いきっかけになります。人と話す場面が増えると、おのずと「伝える技術」も鍛えられます。
日頃からチーム内で考え方を共有し、離職率を低減できた現場もありました。
人を集めるだけでなく、人が辞めない環境を作るためにも「外注」は有効なのです。
お客様ごとの個人台帳や日報など、手書き管理よりITツールに任せると一気に効率化が進み、全体が見通しやすくなります。これも一種の「外注」です。ただしITやシステムについては年々専門性が上がり、本来の業務の合間でフォローするのは心配かもしれません。
活用方法に不安があれば、ぜひ専門家やコンサルという「外注」を活用してください。「今あるシステムを使いこなせていない」という悩みにも効果があります。その道のプロが分かりやすく解説します。
そしてお金の話も「外注」を入れたほうがうまくいきます。農業の世界ではこれから人が減ることが確定しているとはいえ、ビジネスは存続させなければいけません。有効な事業の拡大や縮小についてはさまざまな決断が必要です。
今後を考える上で重要なのは「中長期計画」の策定ですが、日常業務に追われていると先々のビジョンまで手が回りません。そこで役立つのが、長期的な財務のアドバイスができる「外注」の視点です。客観的に「何を残し、何を切るべきか」が判断できます。
短期の収益に関しても、外部の目線や手法が入ると状況を一新できます。
例えば展示会などのイベントでも、「外注」に頼めば企画・準備からクロージングまでを一気通貫で任せられ、利益は以前より上がります。
仮に私たちであれば「トラクター1台分の利益」ほどの外注予算をいただければイベント収支をプラスにします。
今回ご紹介した1〜3に共通するのは、今行き詰まっている業務に外部から風穴を開けられる点です。同じことを内部から行うのは非常に難しいのですが、外部によって見直され、外部から方策を提示されると受け入れやすいという利点もあります。
業務改革を進めたい、改善したいけれどうまくいかない、そんなときほど「外注」の力を借りてみるのをおすすめします。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています