農水省のプロジェクト「SDGs対応型施設園芸 事例普及事業」に参画しました
目次
農業機械販売に携わる皆さんにとって、販売利益率は大切な指標ではないでしょうか。
農協でも農機メーカーでも、価格が安すぎれば利益が圧迫されて赤字になり、高すぎれば売上になりません。
このバランスを上手にとって、いかに農機販売で利益率を上げるか。
そのカギは「適正価格の決め方」と「販売後メンテナンスの運用方法」にあります。
今回はその見直し方を解説します。
価格を決めてお客様へ提供する前に、必ず守るべき前提があります。
それは「公平性」です。
どのお客様に対しても必ず公平な価格を提示し、誰にでも同様のサービスを提供する。
その信頼性が適正価格を受け入れていただくための大前提です。
それが崩れてしまうと、他社と比べて安さを求められるだけになってしまいます。
例えば本体の仕入れ値500万円の農機があった場合、Aさんに損を承知で490万円で売ったとしたら、損した10万円分は他のBさんやCさんへの売値で補填することになります。
Aさんは「安く買えた」と思うかもしれませんが、他のお客様は不公平に感じ、同時に信頼を失うでしょう。また、利益を得られない営業は長続きせず、営業人員や拠点の削減にもつながります。
それは巡り巡ってお客様への悪影響にもなるのです。
人はどうしても安きに流れてしまい、心理的なコストが低い方法を選んでしまいがちです。
一時の親切でする値下げは簡単で、お客様に喜ばれるためとても気持ちのいい行為ともいえます。
しかし無理のある値付けに将来のメリットはありません。自社だけでなくお客様にも最終的に損をさせてしまいます。
シンプルですが「利益が出る適正価格を設定し、公平に運用して利益を出す」、これが一番の方法なのです。
適正価格を決めるにあたって、クリアするポイントが2つあります。
大前提である「公平性」にも通ずるものです。
第1に、農家に納得していただくことです。
農家の皆さんにしてみたら農機の原価は関係ありません。
安く買えるのが一番ですが、価格の理由が分かり、不当な高値で買わされるのでなければ納得いただけます。だからこそ値付けの理由は明確でなければいけません。
第2に、嘘のない説明をすることです。
あり得ない約束はしないように気をつけます。
「絶対壊れません」「この使い方も大丈夫です」などは、売り手の熱意だとしても言ってはいけない文言です。
この2つをクリアした上で、適正価格を決めていきましょう。
では、どのように自社販売している農機の適正価格を決めればよいのでしょうか。
経営のメソッドとして3通りの方法があります。
類似製品の市場価格や、従来売っていた自社価格などをベースに、スペックや価値を足し引きして価格を決める方法です。
皆さんが普段から行っている値付け法だと思います。
コストアップ法とも言います。トラクター1台を例にすると、本体だけでなくさまざまな費用をかけて製品がお客様に届けられます。
原価+運送費+試運転費+人件費などは削れない費用です。そこに自社が得たい利益を足して、お客様への販売価格とします。
公共料金やライバルが少ない製品販売では、この値付け法が選ばれます。
自社にとっても利益を確実に得られる損のない方法です。
スペックや効率が向上した農機に対しては、前機種よりも価値が上がったと考えて価格も上乗せする方法です。
例えば今まで500時間かけていた作業が250時間でできる機械を買えば、残りの250時間分を他の生産活動にあてられます。その価値を価格に反映させるものです。
特に、メンテナンスに関していえば②の1択で構わないと考えます。
次回は、どのようにコストを積み上げてお客様に納得いただくか、また、本体価格はどのように決めるべきかを解説します。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています