人事部門はもっと「産業医」を活用しよう 専門家の介入で人事の心理負担を大幅に減らす | 合同会社AMU経営研究所

人事部門はもっと「産業医」を活用しよう 専門家の介入で人事の心理負担を大幅に減らす

統括研究員 谷川大致
監修・執筆統括研究員 谷川大致
人事部門はもっと「産業医」を活用しよう 専門家の介入で人事の心理負担を大幅に減らす

本来、人事部門は「働きやすい環境」や仕組みを整える部署です。しかし人事系の仕事は不定形業務が多く、常に調整や判断を求められるストレスの高い状態が続いています。

人事業務の大変な部分は、大きく3つあります。第1に従業員個々に対応する負担です。彼らのメンタルや身体の問題にまず耳を傾ける窓口が人事部門になっています。第2にその従業員の上司へ対応する負担です。人間関係の問題の多くはここで複雑化しています。第3に社内規定と現場実態のズレを調整する負担です。

人事部門としてあらゆる立場を考慮していると、問題解決の糸口が見えなくなってしまいます。こうした場面で解決の一助となる存在が「産業医」です。実は、人事部門で問題を抱え込まなくても大丈夫なのです。

「産業医」とは

常時50人以上の従業員がいる事業場では、労働者の健康管理のため、産業医の選任と毎月1回以上の衛生委員会開催が義務づけられています。義務=専門家の協力をいつでも得られるともいえます。

職場で問題が発生した場合、当事者やその上司に対し、状況について丁寧な説明が欠かせません。これは人事が担うより医療の専門家である産業医に任せたほうがスムーズです。なぜなら、メンタルや身体などの医療的な視点から介入したほうが理解しやすいからです。

具体的な5つの例を挙げてみます。

「部下の無気力」を指摘された場合

やる気がない社員を配置したとして、上司からクレームを受けるケースは少なくありません。説得を試みても話が進まず、結果として人事側が消耗してしまうこともあります。

この場合は産業医を介して、医療面から原因と対応策の説明をしてもらうと角が立ちにくくなります。あらかじめ産業医には上司との面談同席を依頼するだけでなく、定期的なメンタル・身体チェックで異状があった際に個別面談を行う体制を整えると問題予防にもつながります。

社内規定の改善提案についても、根拠となるデータや意見は産業医の知見が有効です。医療的な裏付けがあると上層部への説得力が変わります。

「残業は減らせない」といわれる

問題を抱える部署ほど、残業削減の話をしても「無理だ」と反発されがちです。そのときは産業医が関わる定期的な衛生委員会を活用すると効果があります。

委員会は管理職や関係者を集めた研修形式で開催し、産業医から残業が心身に及ぼす影響を解説してもらうのです。人事だけで説明するより、専門家の言葉のほうが納得感を得やすくなります。

休職の判断を迫られる

休職の判断について、人事は個人と会社の双方を考えすぎて板挟みになりがちです。しかしこの問題は管理部門が悩み続けても明確な答えは出ません。メンタルや身体を含む判断は医療の専門家である産業医に委ねるのが最善です。そこで出た答えに従うようにします。

「復職させて大丈夫か」といわれる

復職後に再び休職されることを懸念し、上司から不安の声が上がることもあります。この場合も人事だけで説明せず、産業医から「なぜ大丈夫なのか」を説明してもらう場を設けるとよいでしょう。

その際、復職後の環境を整える責任はマネジメント側にあることも、産業医から伝えてもらいます。復職後に問題が生じても人事ではなく産業医に相談するルートを設定すると、医療的な観点からすぐに助言・対応できるようになります。

ハラスメントへの対応

職場でハラスメントの兆候が見えた場合、人事だけで対応するより、産業医と連携して予防策を講じるほうが効果的です。該当するチームに対して産業医を講師にした勉強会を開き、心理的・身体的なダメージを医学的に解説してもらいます。倫理的な説明より、医療に即した具体的な話のほうが伝わりやすいです。


私たちが出会った産業医の皆さんからは「産業医をもっと活用してほしい」という声をよく聞きます。産業医の関与を増やせば一定のコストはかかりますが、人事の負担軽減と本来注力すべき環境整備を考えれば、決して高い投資ではありません。人事部門こそ、ぜひ産業医を積極的に活用してみてください。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

皆様からのご連絡をお待ちしています

受付時間8:30-17:30 / 定休日:土・日・祝日

03-6675-9340 メールでのお問い合わせ