コンサルタントが見るPMIの世界

統括研究員 谷川大致
監修・執筆統括研究員 谷川大致
コンサルタントが見るPMIの世界

農協や販社の皆さまは、PMIという言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。
PMIを改めて紐解くと、これはPost Merger Integrationの略称で、主にM&A成立後に行われる組織の統合作業を指します。

例えば同業だったA社とB社が合併をした時、おそらく両社には同じような仕事をしてきた人、似た役割を担っていた部署が存在すると思います。人数的な調整も必要ですが、ここで殊にネックとなるのは「組織ごとの業務フローや制度の違い」「元は他社であり競合であることによる軋轢」です。

何からどう手をつけたらいいのだろうか、皆経験がないということで身構えてしまうのでしょう。それで結局、組織統合を推進する部署も取りつく島を失ってしまうわけです。

ここで言いたいのは、専門のコンサルタントに一から十までお願いをしてください、ということでは決してありません。
そのようにコンサルタントの口から言ってしまうと仕事を失うようですが(笑)、正直なところPMIは皆さまがこれまでにもやってきたことの応用なのです。

例えば社内においても、近隣の営業所同士が1つに統合されたり、部門編成が変わってそれまでは別々だった部署の人とも同じ組織で仕事をしたり、といったことが一度や二度やあるはずです。

こんなとき私たちはどうするでしょうか?
新組織に適用するルールを改めて整理したり、管理職のポジションや係業務についても割り振り直したりするはずです。

これこそ、部門間のPMIです。すなわち、社内レベルであれば、PMIは多くの人が経験済みであり、必ずしも異質なことではないのです。

もちろん社内における統合・再編成と、企業の枠組みを超えた合併・買収は規模も性質も異なります。とりわけ買収側・被買収側といった関係がそこにある場合、普段のやり取りにもその主従関係が影響を及ぼしうることは想像に容易いところです。

円滑なPMIを進めるには、コミュニケーションの質そして量にこだわり、気掛かりに対しては迅速に介入すること、こうした心がけが鍵を握るに違いありません。

総括

もちろん必要な時は専門家に頼るのもありかもしれませんが、まずは心理的ハードルから取り除くことが、どんな時も重要ではないかというお話でした。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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