設備投資の準備は1年前から 公的認定制度を使って補助金の採択率を上げる | 合同会社AMU経営研究所

設備投資の準備は1年前から 公的認定制度を使って補助金の採択率を上げる

統括研究員 谷川大致
監修・執筆統括研究員 谷川大致
設備投資の準備は1年前から 公的認定制度を使って補助金の採択率を上げる

製造業や農業などの現場で使われている設備の中には、導入から20年30年経ったものが少なくありません。耐用年数を超えても稼働する堅牢さゆえ、つい再投資が後回しになりがちです。

しかし突然の故障や不具合が出た場合は大変です。すでに製造メーカーがない、部品が調達できない、修理に対応できる業者がいないなどの理由で手詰まりになるケースが多発しています。

数千万円〜数億円もかかる高額設備について、壊れたときに急いでリプレイスするとなると目の前にあるものでしか調達できません。良くて同等スペック、価格は非常に高いものになるでしょう。

このような事態を防ぐには「早めに設備投資を検討する」のが最善です。できれば3カ月前から、ベストを尽くすのであれば1年前からの準備がおすすめです。余裕を持った計画で資金調達の選択肢が広がり、最新設備をリーズナブルに導入できます。

今回はその準備の手順を紹介します。

まず設備の現状を把握する

まずは現在使用している設備の耐用年数を把握し、代替となる製品の情報収集をしておきましょう。

製品名のある汎用品であれば調達は比較的容易ですが、特注設備の場合は製造元がすでに廃業していることも珍しくありません。開発したメーカーから同じように調達できるのか、ない場合はどこへ依頼できるのか、余裕がある間にじっくり調べてください。

取引可能なメーカーが見つかったら、見積を出してもらいましょう。先方からのヒアリングと調査・回答の往復だけでも数カ月かかることがあります。相見積もりであればさらに時間がかかるので、早めの依頼が大切です。金額が分かれば資金調達の戦略を練れます。

補助金活用のメリットと準備

ただ、高額な設備投資をすべて自己資金で賄うのは困難です。投資の前に資金調達についても検討します。

ここで頼りになるのが各種補助金制度です。特に国や自治体が公募する補助金は、設備更新だけでなく、労働環境改善や省エネなどの政策的目的にも沿うよう設計されています。

しかし補助金には申請期限があり、募集開始から1カ月程度で締め切られることが多いのが現実です。事前の情報収集と見積、導入計画の立案が不可欠です。

補助金採択率を上げる「加点」制度

補助金の採択率を大きく左右するのが「加点要素」です。国が推進する政策に沿った認定(例:経営力向上計画、地域未来牽引企業など)を取得しているかどうかで、申請が通る確率が大きく変わります。

ここで見ていただきたいのが補助金採択率の折線グラフです。取得認定がゼロであれば33.4%、2つ保有していれば53.0%と、採択率は実に1.6倍の差が出ます。認定の有無で結果的に数千万円分の違いがあるのです。

補助金採択率

出典:ものづくり補助金 公式サイト

認定を一度取得すれば企業の信用度がグッと上がり、資金調達の面でも多大な力を発揮します。取得には期間が必要なものが多いので計画的に進めましょう。

私たちがおすすめしたい認定は以下です。

  • 基本で取るべき認定:経営力向上計画/事業継続力強化計画(BCP)
  • さらに優位性を高める認定:DX認定/えるぼし認定/くるみん認定

融資の枠も「認定の有無」で変わる

自己資金だけでは足りない場合、融資の活用も選択肢に入ります。公的資金として、日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付き融資などがありますが、これらも認定という「加点」要素によって利用可能な融資枠が変わります。

注意しなければいけないのは、銀行や協会の窓口では「この認定を取れば枠が増える」と教えてくれない点です。申請者の条件を見てルール通りに案内されるだけなので、事前に自社がどの認定を保有しているかを把握し、必要に応じて取得するのはこちらの作業です。

計画の起点は「社会的意義」

補助金申請時の事業計画には、単なる費用対効果や生産性向上だけでなく、自社の社会的な意義を記載してください。例えば「この設備は業界初の試みで、成功すれば全国に波及効果がある」など、業界全体への貢献が見込まれる計画は高く評価されます。

国も自治体も「公器」である以上、社会的価値の高い計画に資金を投じる傾向を持っています。ぜひ自社の存在意義や地域・業界への影響についても言語化してみてください。

専門家の力を借りる

事業計画の作成から必要な認定の取得、見積交渉といった一連の流れを進めるには、できれば1年の準備期間を設けるのが理想です。突発的に設備が壊れてからでは、補助金や融資の活用はほぼ不可能です。

言い換えれば、計画的に設備投資の準備を進めておけば、補助金や融資を活用してより高性能な機材を無理なく導入することができます。

こうした補助金制度の利用や認定取得には注力すべきコツがあります。当社では農林水産省関連の補助金申請支援をはじめ多くの実績を持っており、中堅成長投資補助金(最大50億円)などの高額案件でも採択されています。

申請の手間や制度選びで困ったときは、ぜひ私たちにご相談ください。準備は今日からでも始められます。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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