千代田化工建設株式会社 | 合同会社AMU経営研究所

千代田化工建設株式会社

  • 従業員数1,648名
  • 資本金15,014百万円
  • 売上高4,570億円
    (2025年3月期)

持続可能なエネルギー社会を支える総合エンジニアリング企業
― SAFを軸とした新たな低炭素社会の実現に向けて ―

事業の内容

千代田化工建設株式会社は、国内外で幅広いプラント建設を手掛ける総合エンジニアリング企業である。エネルギー関連や化学関連を中心に、石油精製、石油化学製品や液化天然ガスの安定供給など、社会の基盤を支える大型設備の設計・建設に長年携わってきた。

同社が手掛けてきた石油精製プラントでは、ガソリン、灯油、軽油などの生産プロセスの高度化を通じて、環境対応や効率化を推進してきた。近年では、低炭素化や再生可能エネルギーへの転換という世界的潮流の中で、次世代エネルギーの供給に向けた新たな挑戦を進めている。

SAFに取り組まれた背景

同社がSAF(持続可能な航空燃料)に注目したのは、石油元売会社をはじめとする主要顧客が、2030年を見据えて低炭素化を加速させる中で、その製造プロセスの転換支援を求められたことがきっかけである。

日本政府は2030年に航空燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げており、これは極めて大きな需要量を意味する。こうした社会的要請に応える形で、千代田化工建設は顧客企業とともに、SAF製造設備の設計・建設に本格的に取り組み始めた。

SAFには、廃食油などを原料とする「HEFA」方式と、バイオエタノールを原料とする「ATJ」方式という2つの主要な技術がある。同社は、いずれの方式にも対応できる技術体制を整え、特定の方式に偏らない全方位的なサポートを行っている。特にATJ方式においては、サトウキビ由来のバイオエタノールが有力な原料とされており、南米などで確立された供給体制を活かしながら、国内での製造基盤構築に貢献している。

同社は、これらの技術の商業化を支えるパートナーとして、太陽石油株式会社のSAFプラント設計にも関与している。これは沖縄県で進められている大型プロジェクトであり、商用化に向けた重要な一歩となるものだ。

現在の取組状況

現在、千代田化工建設はHEFA・ATJ両方式の商業プラント建設に対応できる体制を整備している。さらに、次世代の燃料原料確保を見据え、廃プラスチックや都市ごみ(MSW)のガス化から燃料を合成するフィッシャートロプシュ法など、多様なプロセスへの技術的研究・対応も進めている。

また、製紙副産物を利用した第二世代バイオエタノールや、ソルガムなどの非可食性植物資源の活用にも注目し、原料多様化に関する知見を深めている。こうした複数の技術領域を同時に追求できるのは、総合エンジニアリング企業としての強みである。

ただし、こうした大規模プロジェクトの推進には、人材と協力会社の確保という課題もある。全国でカーボンニュートラル関連のプロジェクトが同時多発的に進行しており、熟練技術者の確保は容易ではない。同社は、長年の取引関係を基盤に、協力会社に対して中長期的な案件計画を提示するなど、信頼と見通しを共有することで共に成長できる環境づくりに努めている。
「一過性の発注ではなく、国や地域、そして国民が求める持続的な事業であることを示すことが、協力を得る上で重要」と担当者は語る。

さらに、SAF事業はコスト面での課題も抱える。既存の航空燃料に比べ、製造コストが高いことから、国の補助やカーボンクレジット制度など政策的支援が不可欠だ。同社は官民協議会での議論を注視しつつ、国の方針が示された際に即座に建設へ着手できるよう準備を進めている。

一方で、スタートアップ企業との連携にも積極的だ。要素技術を保有する新興企業に対し、プラント化・商業化に向けたスケールアップ支援を行っており、実証プラント段階から協働するケースも増えている。こうした「技術の成熟度を高める支援」も、千代田化工建設の新たな強みとして位置づけられている。

今後の課題

SAFを含む脱炭素プロジェクトは、2030年以降も拡大が見込まれる。千代田化工建設では、SAFを事業の柱の一つとして位置づけるとともに、二酸化炭素を地下に圧入・貯留するCCS(Carbon Capture and Storage)など、他の低炭素化技術への対応も並行して進めている。これらはいずれも、従来のプラントエンジニアリングの知見を活かせる領域であり、同社の技術資産と高い親和性を持つ。

また、人材育成にも注力している。同社ではHRO(Human Resource Officer)制度を導入し、部門横断的なジョブローテーションを通じて人材の多様な経験と成長を促進している。専門性を重んじるエンジニアに対しても、キャリアの可能性を広げるための「対話と伴走」を重視しており、異動希望を気軽に表明できる社内制度も整備した。これにより、従業員一人ひとりが長期的な視野で社会価値創出に関わることができるようになっている。

                  

千代田化工建設は、「社会のかなえたいを共創エンジニアリングする」というパーパスのもと、技術力と人材力の両輪で低炭素社会の実現に挑んでいる。SAF事業はまだ発展途上にあるが、確かな技術基盤と豊富な実績、そして人を大切にする企業文化が、次の時代のエネルギーを支える大きな力となっていくだろう。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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