農水省のプロジェクト「SDGs対応型施設園芸 事例普及事業」に参画しました
目次
農機販売で値付けをする場合、どのように考えればいいか。
前回は3つの「適正価格の決め方」をご紹介しました。
メンテナンス事業に関しては②の方法で算出することをおすすめします。
メンテナンスという作業について適正な金額を割り出すなら、これがお客様と自社が最も納得しやすい方法だと思うからです。
メンテナンスを行う場合、必ずあるのが分析プロセスです。
目の前でトラブルや故障が起こったら、何が原因なのか、どこを修理すればいいのかを調べて確定しなければいけません。
もし取引のない他社がこの修理対応に値付けするなら、調べるために人手と時間がかかり、その分のコストが乗せられてかなり高額な見積になるでしょう。それだけ価値がある分析力と技術力を駆使する作業ともいえるわけです。
しかし、取引がある自社で修理対応の値付けをしようとすると、この分析プロセスについて軽視してしまいがちです。「履歴や様子が分かる」というアドバンテージはありますが、やはり突発的に起こったトラブルについては調査・確定の手順は省かずに行うはずです。
それでも「他社より安くしよう」「うちとしては当たり前のプロセス」として、この技術力に課金せずに済ませてしまう企業がとても多いのです。これが損失や赤字を生んでいます。
定額でメンテナンスサービスを提供するときも、値付けでは現場の技術料・作業料は織り込んで考えましょう。
つい他社より安いサービスを提供しようとして「想定できる最短時間/最少工程」の価格を設定してしまいがちですが、現場では毎回最短で作業できるわけではありません。
かかるはずの時間・費用を割りすぎては利益が出ないので、自社の技術や作業にはしっかり価格をつけてください。
これは他社と比べるものではなく、自社評価を自社で決めてお客様に提示することでもあります。
そのためメンテナンス事業においては「①競合価格比較法」より「②コスト積み上げ法」のほうが向いているのです。
農機などの本体価格に関しては「③価値基準法」をベースとします。顧客の視点から見た価値を基準にするので「“顧客”価値基準法」と新たに言い換えてもいいでしょう。
これは、お客様が継続的に「支払ってもいい」と納得できる・自社が継続的に利益を上げられる・仕入れ先も継続的に健全な事業を回していけるという、三方よしを実現する値付けでもあります。
自販機やコンビニの飲料は、他の小売店より割高でも売れるのはなぜでしょうか。
それは「今購入するメリットが上乗せ金額より上回る」と判断されるからです。
本体価格をご案内する際も同様のメリットを明示できるようにします。今購入すればお客様がどんな効率化・省力化・コストカットを実現できるか、金額に換算して提示すればよいのです。
金額で表せる要素は3つあります。第1に人件費です。
新しい農機を買って時間を短縮できるのであれば、その分の人件費が節約されます。農機を使う回数・時間が分かればさらに細かい金額が出るでしょう。
第2にランニングコストです。
メンテナンスの回数が減る、燃料が節約できる、使う薬剤や肥料が少なく済む、これも新しい本体が生み出すメリットであり、金額に換算しやすい部分です。
第3に安全性です。
お客様が知っているトラブル事例があれば、新しい本体がどうカバーしているのか説明し、予測される損害金額やトラブルが減少することを伝えます。
これらの金額を積み上げてそのままお伝えすると「コスト積み上げ法」になりますが、「“顧客”価値基準法」の場合は違います。「これだけの金額メリットがあるのに、これだけの金額で実現できます」と積み上げた金額より低い額で価格をご案内するのです。
もちろん、その価格は自社や調達先の利益が出るものにします。お客様にとっては少し高くなるかもしれませんが、上記のような理由を伝えると受け入れてもらいやすくなります。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています