相手の使用シーンを想像する、農機販売のターゲティング

統括研究員 谷川大致
監修・執筆統括研究員 谷川大致
相手の使用シーンを想像する、農機販売のターゲティング

農機を売ろうとして、週報や機関誌で展示会のチラシを挟み、カタログを満遍なく案内していませんか。

扱う農機を幅広く紹介するのは一つの親切なのですが、買い手である農家にはきっと響きません。なぜなら、それは本当に欲しいものではないからです。

ターゲティングの基本は「何を/誰に/いつ/どのように売るのか」を決めることです。やみくもにセールスしてもターゲティングは実践できません。一度立ち止まって、相手を見直してみましょう。

例えば、7年前に購入した農機を買い替えたいお客様がいるとします。同等スペックの後継機を薦めるのもありですが、もっと喜ばれる販売の仕方もあります。

それは、相手の使用シーンを想像して「何を/誰に/いつ/どのように売るのか」を絞り込むことです。

そのお客様の作付面積や環境は7年前と同じですか。面積が広がっていたら馬力を上げた機種のほうが効率がよいかもしれません。また、お客様の年齢は確実に上がっているので、多少高価でも前の機種より取り回しが楽な農機のほうが今は便利かもしれません。

一回り大きな農機を薦めたい場合、置いておく納屋や圃場までのルート、上げ下ろし、片付けやメンテナンスはどうですか。変更が必要なら、フォローするパーツや工夫も一緒に伝えると助かるはずです。

お客様自身もまだ「何が欲しい」と明確に言語化できないケースが多々あります。利用シーンを想像し、先回りして提案するのは営業担当者の役割であり、最も相手に喜んでもらえる決め手です。

実践するためには、日々のお客様の様子を観察し、記録し、考えてみるのが一番です。単に「○年前に買ってもらったから」という情報だけでなく、今のお客様がどう動いているのか・動きたいのかを把握して、売るべき農機を絞っていきましょう。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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