約20年前、JAからの勧めを受け、現代表中村聡夫氏の義父が、トマトの施設栽培を開始しました。当初は、土耕にて栽培を始めましたが、のちに養液栽培に移行し現在に至ります。
現代表の中村聡夫氏は、当社のトマトに出会い、その味に感動したことをきっかけに婿入り後、就農しました。
2年前に代表に就任し、現在3作目の栽培を行っています。農業は未経験であったものの、地元部会や勉強会に積極的に参加するなどして、日々おいしいトマトを栽培するための研究を続けています。現在の栽培品目としては、トマト(58a)の他に、前代表がアスパラ(18a)を栽培しています。
ハウス外観
現在当社のトマトの収穫量は約162t、生産量の大半を系統に出荷していますが、一部、地元飲食店への販売も行っています。また、系統出荷できないキズものに関しては直売所での販売を行っています。
当社で栽培するトマト
当社の経営上の強みは、主に以下の2つあると考えられます。
当社では、ハウスに重油ボイラーとGHP(ガスヒートポンプ)を導入し、トマトの栽培に適正な温度に保つことで、1年を通じてトマトの収穫ができる体制を構築しています。また、センサーを設置して、リアルタイムにハウス内の温度のモニタリングを行うことで、温度管理を自動化し、トマトの品質や収量の向上も実現しています。
施設内に張り巡らされたダクト
当社社長は前職の経験から、「自分の手で作ったもので人を喜ばせたい」との思いが強く、就農後もおいしいトマトを栽培するべく、トマト栽培の研究と勉強を続けています。
義父からの指導の他に、様々なセミナーや勉強会に参加するなどして、最新のトマト栽培の知見を取り入れています。ハウスの温度管理にパソコンを使い自動化するなど、農業のDXにも積極的に取り組んでいます。
当社が現在取り組んでいると考えられるSDGs(省エネ関連は後述)のターゲットと内容は、次の3つとなります。
先進的な技術を積極的に取り入れ、徹底した温度管理を行うことで品質の高いトマトの通年栽培を実現しています。気候などの外的要因の影響を受けにくい栽培方法により、持続的な食糧生産に寄与しています。
当社では、水の使用量を極力減らすため、液耕栽培で利用する水を循環させる仕組みを導入しています。
水循環システム
枝の高さを調整することでなるべくかがまず作業できるようにする、高所作業のための高設台車を設置するなどの取組により、従業員がなるべく身体の負担を減らす環境づくりをすすめています。
高所作業車
目線の高さで作業できる枝
当社の省エネへの取り組みのターゲットは以下の通りです。
ターゲットに紐づく具体的な取り組み内容は以下の2つとなります。
従来、ハウス内の温度管理には重油ボイラーを利用していました。6年前にGHP(30馬力)を3台導入し、重油ボイラーと組み合わせて利用することで大幅に燃料費を抑えることができました。
また、夏季の高温対策に活用することで、トマトが苦手とする高温期の収量や品質も改善され、収量あたりの化石燃料使用量の削減を実現しました。
導入したヤンマー社製GHP
ハウス内の複数箇所にセンサーを設置し、ハウス温度の24時間監視を実現することで、重油ボイラーやGHPの操作を自動化しています。
これにより、ハウス内の温めすぎ、冷やしすぎを防ぐことができるだけでなく、化石燃料使用量の低減につながっています。
温度モニタリングシステム
どちらの取り組みもきっかけはコスト削減でしたが、導入により燃料費コストの削減を実現できただけでなく、トマトの品質の改善にも繋げることができたことは大きな収穫の1つでした。
当社はGHPをはじめとした先端設備を導入することにより、1年を通じて安定した収穫が実現しています。
一方で、1年を通じて収穫が忙しくなり、業務量は増大しています。そのため、今後10年ではおいしいトマトをコンスタントに出荷することを目指すと同時に、従業員の負担を減らし、業務に追われるのではなく心に余裕を持って働ける職場づくりを実現していこうと考えています。
すれちがう従業員がみな笑顔で、明るい挨拶をしてくれたのが印象的でした。
一現代表の原点とも言える「自分の手で作ったもので人を喜ばせたい」との思いのもと、より良いトマトを作りたいとの思いで導入した設備が、結果的に環境負荷削減や従業員の働きやすさにもつながっている好事例でした。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています