有限会社宮川洋蘭

  • 作物胡蝶蘭
  • 地域熊本県
当社概況

当社は、花生産者として三代、1972年に二代目が洋ラン栽培を始めて50年となる、洋ラン生産者です。三代目となる現社長の宮川将人さんは2007年からインターネット販売をスタートしました。

当初は売上が上がらず苦労するも、6次産業化ボトルフラワーの開発などを経て、2017年には楽天市場の年間MVPを受賞し、今では売上の8~9割を占めるまでにインターネット販売を伸ばしています。

近年はSDGsに対する取り組みを強め、花業界で初めて、環境省から「地球にやさしい商品」としてGREEN LIFE認定を受けています。また、宮川社長はイノシシの獣害を解決するために「農家ハンター」事業を農家の若手とともに立ち上げるなど、地域貢献を目指し、さまざまな活動を行っています。

宮川代表、作業場にて

宮川代表、作業場にて

当社の強み

当社は、企業のような商品開発力とITも活用しながら栽培から販売まで取り組んでいる点を強みとし、世界園芸博金賞やジャパンフラワーセレクションを受賞するなど花自体を育成することに優れているのに加え、ボトルフラワーから家庭で楽しめるミニ蘭などの花を活用する商品を幅広く開発、高く評価されています。

昨年からはじめたイチゴのハウス栽培

昨年からはじめたイチゴのハウス栽培

地域の活性化を目指し、昨年から近隣の若手農家と協力して、イチゴ栽培にも取り組んでいます。これからの農業は体験に価値を出すことが大事との考えから、地元を賑わせるには家族連れ向けの観光農園をしようとのアイデアです。
地元戸馳島には稼働していないビニールハウスやボイラーがあり、若手の仲間で、わずか1年で出荷できるまでに立ち上げました。

また栽培はポットにすることで、イチゴ狩りを楽しんだ観光客には、持って帰れるポットのイチゴをお土産にするなど、地元のチームで盛り上げるアイデアをたくさん持っています。

SDGsの取り組み

従来の洋ラン栽培について、宮川社長は、ビジネスとしての持続性の点から大きな危機感を感じていると言います。
なぜなら、主力である大輪胡蝶蘭はほとんどが法人の贈答用であり、さらに多くの企業がとりあえず送っておくような形式的なものという理解があるからです。
極論ですが、贈り主の札さえ付いていれば双方に事足りるギフトではないかと考えているほどです。

大輪胡蝶蘭の鉢の植替え作業

大輪胡蝶蘭の鉢の植替え作業

胡蝶蘭は出荷までに小型で3年半、大型のものは5年かかり、国内で育てるにはその長い間加温し続ける必要があります。その間に発生する燃料費またCO₂は大変多いものになります。
この環境に対する悪影響と需要の実際を天秤にかければ、長続きせず急になくなる可能性もあるほどの状況と考えているそうです。そうした環境分析から当社の胡蝶蘭育成は、
①育成期間の大半を温暖な台湾で育てる、
②ビニールハウスでのボイラー(重油)をやめ、エアコンで気温をコントロール、
③従来鉄製である花茎を支える支柱をメーカーと共同開発し竹製に切り替える、
④陶器鉢を竹とトウモロコシの芯で作った素材の鉢を使用する、
などの取り組みを行い、環境省の認定を受けるに至っています。
これらは決してコストダウンにはならず手間がかかることも多いですが、当社としては、やれることはやるのだという切迫感をもって、サステナブルな胡蝶蘭育成に取り組んでいるのです。

省エネの取り組み

省エネに対し、大きくは上述したとおり、育成期間の大半を温暖な台湾で育てたり、ビニールハウスでのボイラー(重油)をやめ、エアコンで気温をコントロールしています。が、それだけではありません。
電力はソーシャルビジネスに取り組むボーダレス・ジャパン社の一事業であるCO₂ゼロの自然電力(ハチドリ電力)を使用しており、それは電気代の2%を環境活動に寄付することにもつながっています。

その他

アイデアと思いは豊富にあるが、資金調達が課題であるとのお話もお聞きしました。
洋ランや農家ハンター事業では過去にクラウドファンディングを6回行ってきましたが、まだアイデアの実現には足りないのです。
様々なSDGsへの取り組みを活かすようなESG投資の対象とすることも一案です。そのためには、こうした取り組みをしながら利益を出すという努力も必要であるし、ESG投資につながる仕組みもあると良いと言います。
自社の精一杯の取り組みを業界に広げていくことも今後の大きな課題だそうです。

農家ハンター事業「イノP」の仲間

農家ハンター事業「イノP」の仲間

結論

彼らの思いの原点は「先義後利」です。
地球環境のために、胡蝶蘭の育成を環境負荷の少ない仕組みとし、自然エネルギー、支柱や鉢を生分解性素材とする取り組みを行ってきました。
また、地域の発展のために、地元の仲間と協力し、既存設備を活用し体験型観光農園を目指したイチゴ農園を立ち上げ、イノシシ獣害の解決事業を始めるなども、アイデアを実現した活動でした。
まだまだ課題も多いと言いますが、「微力でも無力ではない」ということを信じて取り組む姿は大きな波になっていくと思います。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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