株式会社タカヒコアグロビジネス
(愛彩ファーム九重)

  • 作物トマト、パプリカ
  • 地域大分県
同社概況

株式会社タカヒコアグロビジネスは、大型プラント建設会社である親会社・株式会社タカフジの子会社として創業しました。
家業の農家を継ぐため退職した、ひとりの社員が語る「農家の厳しさ」を皮切りに、国内農業の実情を調査。多くの課題があることを知りました。

更に調査範囲を広げ、国内の農家はもちろん、世界の先進的な農業を参考にし、オランダの生産法人とパートナシップを締結。
ドイツでは、国営のガス会社の排熱をトマト農家が有効活用していることや、オランダではトリジェネが実現できている実例が、当ファームの創業に大きなヒントを得ました。
そして、エネルギー事業を得意分野としている親会社のノウハウを活かした、新しい農業ビジネスを叶える場として「愛彩ファーム九重」を立ち上げました。

32,000㎡の栽培面積を持つ「愛彩ファーム九重」

32,000㎡の栽培面積を持つ「愛彩ファーム九重」

経営理念は「夢を持ち、夢をかなえていく、人や組織をつくる」こと。
(経営理念:フィロソフィーはこちらのWEBサイトにhttps://takahiko-agro-business.jimdofree.com/

大分らしさを活かした農業について考え、地熱を活かした栽培方法により、施設園芸の栽培における熱エネルギーコストゼロを実現しています。

主力栽培種目はパプリカで、当ファームの生産物の9割を占めます。続いてトマト、少量ですがバジルやレタスなども栽培しています。

販売先は全国を対象としており、A級品・B級品は仲卸業者や小売量販店に販売。パプリカとトマトの売り上げは約3億2,000万円にのぼります。C級品は、グループ会社の経営しているレストランで料理として提供し、同飲食店内でC級品野菜の販売も行っています。

蒸気と温水を巡らせ地熱を効率的に利用している

蒸気と温水を巡らせ地熱を効率的に利用している

同社の強み

同社では、親会社で培った組織風土、得意分野である「エネルギー」を活かした栽培方法、C級品までお客様に愛される販路の形成が強みとなっています。

1). 親会社で培った組織風土

同社は、匠の技術が必要となる一般的な農業、いわゆる「その人『しか』できない」農業とは異なります。技術マニュアルの作成や工程管理を行った上で、安全を維持するため、親会社の高所作業有資格者から講習を受ける等、全体のスキル向上・品質向上に取り組んでいます。

2). エネルギーを活かした栽培方法

施設園芸におけるエネルギーコストは30%を越えていると言われ同社では、温泉熱を利用した栽培を行うことで栽培における熱エネルギーのコストゼロを実現しています。
建設時に親会社が開発した熱交換システムから農業ハウスへ配管を敷設し、熱交換されたお湯がハウスに送られる仕組みです。地熱井戸を2本有し、無料の熱源があること、また、メンテナンスは親会社で実施できることにより、更なるコストカットに繋がっています。

3). C級品までお客様に愛される販路の形成

大分市内にある飲食店(1店舗)は、同社のグループ会社が経営を行っています。提供される料理には、規格外であるC級品の農産物が利用されています。また、店内にはC級品野菜の販売スペースを設けており、その売り上げは店舗売上の2割を占めることもあります。実際に農産物の美味しさを味わった上で、野菜を購入できるこの仕組みは、C級品の廃棄を限りなくゼロに近づけています。

C級品野菜を調理し提供、店舗の敷地内で販売も行われている
C級品野菜を調理し提供、店舗の敷地内で販売も行われている

C級品野菜を調理し提供、店舗の敷地内で販売も行われている

SDGsの取り組み

同社のSDGsの取り組みは、主に「健康食ニーズへの対処」「持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育」「再生可能エネルギー・資源利用効率の向上」「産地廃棄物の排出量を削減」です。

1). 健康食ニーズへの対処

養液に温泉水を配合するなどの栽培を行っている同社。医学系の大学などとの共同研究など、栄養価の高いパプリカができていることを確認し、機能性表示食品となっています。

2). 持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育

イベントでは、野菜ソムリエや有名シェフなどを招き、生産者のこだわりを伝え、商品の価値を高めるとともに、食を通じて農業への関心を高める努力を行っています。

また、大分県産品だけでフレンチ料理を提供する企画などでは、調理師専門学校に通う生徒を厨房に招き入れた実体験型の機会を設ける等、生産者のことまで理解した状態で調理する意識づけを行っています。

3). 再生可能エネルギー・資源利用効率の向上

施設栽培の熱源には、敷地内に設置した地下数百メートル以上の地熱井戸から出た蒸気と温水を利用しています。既に存在しているエネルギーを最大限に活かし、施設栽培のエネルギーコストゼロを実現しています。

4). 廃棄物の排出量を削減

量販店に販売できないC級品は、グループが営業している飲食店の食材として利用しています。レストラン顧客の6~8割は、店内で販売しているC級品野菜を購入するため、売り上げの2割はC級品野菜が占めています。また、協力関係のある農家にも声掛けを積極的に行い、自社農産物以外のC級品の有効活用にも繋がっています。

省エネへの取り組み

同社の省エネに対しての取り組みは、主に「地熱の利用」と「物流コスト(燃料等)削減」が挙げられます。

1). 地熱の活用

一般的な農家では、およそ30%がエネルギーコストである調査結果を得ていますが、同社では大分ならではの地熱を活かしたエネルギーを利用することで、それを可能な限りゼロに近づけています。

2). 物流コスト削減

販売先のニーズを物流企業に伝え、同社から販売先までの産地の商品を同時に集荷するよう働きかけ、物流企業の積載率を高めています。それにより、同社の物流コストカットはもちろん、間接的に輸送車の燃料削減にも繋がっています。

親会社:㈱タカフジが開発した「温泉熱利用型熱交換システム」(特許取得済み)

親会社:㈱タカフジが開発した「温泉熱利用型熱交換システム」(特許取得済み)

その他

コロナ禍前は、年2~3回程度オランダに行き、従業員研修を行うなど、更なる発展に積極的です。国内であれば、次世代事業を活用する研究ベースの事例を、どうすれば実装できるかを考える意見交換の場に参加し、成功事例になるよう実際にテストを行うなど、農業そのものの発展に繋がる活動も行っています。

結論

大きく変わる情勢の影響もあり保留となっていますが、ハウスを増設し、1ha以上生産面積を広げる計画があります。

パプリカは栽培すればする程販売できるニーズを確認しており、状況次第で更なる事業拡大が期待できます。
また、海外や国内で積極的な情報収集を行い、地域ならではのエネルギー資源を活かした栽培方法は、親会社の風土があるからこそ叶えられるものであり、大企業から始まる農業経営のモデルケースとして、より大規模で持続的な農業の発展に貢献していくと確信しています。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

皆様からのご連絡をお待ちしています

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