全国農業協同組合連合会
富山県本部(JA全農とやま)

  • 作物中玉トマト
  • 地域富山県
本会概況

本会は、富山県内のJAとその組合員のための組織で、生産された農畜産物の販売と、組合員の営農活動や生活に必要な資材(肥料、農薬、農業機械などの「生産資材」、食品、燃料などの「生活資材」)の供給を担っています。

水稲作中心の富山県は、野菜生産額が全国最下位のため、水稲作と施設園芸など園芸作を組み合わせた複合化による農業所得増大と、生産コスト低減のための技術や資材の提案・普及を目的に、2021年に実証圃としてハウス3棟を建設し、2022年2月より中玉トマト・フルティカの栽培実証を本格的に開始しました。

「また、施設園芸のほかにも、青ねぎや白ねぎ、にんじんなどの露地野菜の栽培実証や、生産者・JAへの研修機会も提供しています。実証圃の名称は「アグリメッセ」。アグリ(農業)、メッセ(見本市)そしてメッセージをかけて、新しい作物、農法などに挑戦し、県内園芸の見本となるよう、JA全農とやまからメッセージを発信するという意味が込められています。

アグリメッセ外観

アグリメッセ外観

本会の強み

園芸作物普及のために、生産者の負担となる野菜の選別作業を本会で請け負うことで生産者を支援したり、県・JAと連携した技術指導により、富山県の気候に合った栽培体系を生産者に広く伝えていくことができるのが強みであると考えます。また、県内スーパーなど販売先のニーズも収集し、より求められる園芸作物の栽培に取り組むとともに、収益モデルを検証し、生産者へ提案しています。

作業の様子

作業の様子

SDGsの取り組み

本会のSDGsへの取り組みは「地産地消の拡大」「コストを抑えながら収量を増加させる栽培方法の確立」「園芸作物栽培の普及」という3つの観点で行っています。

「地産地消の拡大」「コストを抑えながら収量を増加させる栽培方法の確立」の取り組みについては、次の省エネへの取り組みの項目で詳しく触れることとし、ここでは、「園芸作物栽培の普及」について触れたいと思います。

富山県は稲作が盛んな土地柄で、連作障害対策として水田を畑にして野菜を栽培するといったことも多く、水を多く必要とする「水稲」と、水はけを必要とする「園芸作物」という真逆の性質を持つ作物を同じ土地で育てるための工夫や、高温多湿で日射不足にも陥りやすいという気候に合った栽培方法を検証したり、研修会などを通して生産者へ情報提供し、園芸作物の栽培で収益を向上させることが「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「陸の豊かさも守ろう」といったSDGsの目標につながる取り組みと考えます。

研修会の様子1

研修会の様子1

研修会の様子2

研修会の様子2

省エネへの取り組み

1. 地産地消の拡大

本会の省エネへの取組みの一つとして、富山県産の野菜が年間を通して供給されるようにすることで、富山県で採れたものを県内で消費する「地産地消」の拡大を目指しており、県外から作物を県内に持ち込むために必要な燃料の削減にもつながります。

2. コストを抑えながら収量を増加させる栽培方法の確立

富山県のトマトは主に年1作で5月から7月の短期出荷ですが、半促成栽培と抑制栽培を組み合わせたインタープランティング栽培に取り組み、年2作栽培により8月から12月までの間も収穫できるようになりました。
インタープランティングとは、1作目の栽培期間中に2作目を定植する技術で、途切れることなく出荷することで販売先などにも喜ばれています。

最も大きい5aのハウスは、夏は暑くなりにくい高軒高ハウスを採用し、暖房のほか、厳しい夏季の高温対策として細霧冷房装置を導入しています。細霧冷房は水を霧状に噴霧するノズルをハウス全体に配置し、噴霧した水が気化するときの気化冷却によってハウス内の気温を低下させる仕組みで、日射によってハウス内が高温となる昼間の冷却方法として効果が高く、ヒートポンプなどの空調機と比べてランニングコストを低く抑えられます。さらに自動開閉の遮光カーテンも設置し、エネルギーコストを抑えながら温度調整を行っています。

また、養液土耕栽培により、肥料と水の使用を必要最小限に抑えるという取り組みも行っています

そのほかに2.5aのハウスが2棟あり、片方には暖房と細霧冷房設備を設置し、エネルギーコストをかけた場合とかけない場合の収量を比較しており、効率的なエネルギーの使用方法を検証しています。

ポットを用いて栽培されるトマト1

ポットを用いて栽培されるトマト1

ポットを用いて栽培されるトマト2

ポットを用いて栽培されるトマト2

その他

今後さらに栽培品目の拡大と栽培期間の延長を目指し、富山県の気候に合った作物の組み合わせと栽培方法を確立し、普及していくことで、富山県産野菜を消費者の方々へより多く届け、地産地消の拡大を図っています。

収穫作業1

収穫作業1

収穫作業2

収穫作業2

結論

富山県産野菜の増加により地産地消がさらに拡大するだけでなく、高収益作物のエネルギー効率の高い栽培方法を確立させることで、より収益性が高くかつ省エネルギーの栽培方法の普及にもつながっていくと考えます。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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