渡会理史

  • 作物輪菊
  • 地域愛知県
当社概況

渥美半島には大きな川がなく、歴史的に幾度となく干害に見舞われてきました。
そこで山間部から用水路を通す計画が立ち上がり、1963年に完成したのが豊川用水です。

豊川用水の完成により、田原市は国内有数の農産物の産地となりました。以来、同地域では主にキャベツや露地メロン、花卉などが栽培されています。当社も豊川用水の完成をきっかけとして、当社前代表(現代表の父)が収益性の高い菊に目をつけ、1970年代より栽培を始め、現在に至ります。

ハウス外観

ハウス外観

同地域は、国内でも有数の電照菊の産地であり、当社でも電照菊により年間3回の収穫を可能としています。現在当社の年間の収穫量は75万本であり、生産量の全量を系統に出荷しています。

当社で栽培する輪菊

当社で栽培する輪菊

当社の強み

当社の経営上の強みは、主に以下の2つあると考えられます。

1). 経営的な視点で稼げる農業を模索する姿勢

菊栽培は、各地で品評会などが開かれ、職人気質の生産者が多い中、当社では生産を通じてしっかりと稼げる農業を目指しています。
特に、JA愛知みなみの輪菊部会に所属し、様々な勉強会等にも積極的に参加することで最新の栽培技術を学び、積極的に取り入れています。

一例としては、現在、ハウス内の環境制御は天窓の開閉を含め自動化しており、省力化と経済性の両立を実現しています。

当社の環境制御システム

当社の環境制御システム

2). 業界全体のマーケット拡大への取り組み

当社では、電照菊ナイトツアーを開催するなど、同地域の電照菊栽培を知ってもらうための取り組みを積極的に行っています。

電照菊ナイトツアーでは、初めにワークスペースで「田原市の農業や菊の栽培過程」をスライドにより説明し、次に菊の栽培温室を見学します。
定植から出荷直近の開花した菊の様々な栽培過程を「花名人」渡会理史氏が分かりやすく丁寧に説明しています。

電照菊ナイトツアーの様子

電照菊ナイトツアーの様子

SDGsの取り組み

当社が現在取り組んでいると考えられるSDGs(省エネ関連は後述)のターゲットと内容は、次の3つとなります。

1). ターゲット2.4「2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。」

先進的な技術を積極的に取り入れ、徹底した環境管理を行うことで品質の高い輪菊の効率的な通年栽培を実現しています。また、化成肥料と有機肥料を併用することで、化成肥料の使用量を削減しています。

2). ターゲット4.4「2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。」

当社のオリジナル台車

当社のオリジナル台車

当社では、機械化可能な部分は可能な限り機械化を進めることで従事者の負担を減らしています。

また、外部専門家の助言を受け、独自の台車を作成するなど生産性向上に積極的に取り組んでいます。

省エネへの取り組み

当社の省エネへの取り組みのターゲットは以下の通りです。

ターゲット7.3 「2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる」

ターゲット3.d 「2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる」

ターゲットに紐づく具体的な取り組み内容は以下の3つとなります。

1). 環境管理の自動化

ハウス内の環境管理は、天窓の開閉を含め自動化を実現しており、24時間体制で無駄のない温度管理ができる体制を整えています。
また、ハウスのカーテンを二重にする、ハウスを隙間のない構造にするなど、地道な取り組みで化石燃料使用量の5%削減を達成しています。

自動開閉の天窓

自動開閉の天窓

2). 反射材の塗布

当社ではGHPなどを導入せず、夏期の期間はビニールに反射材を塗布することでハウス内の温度上昇を防いでいます。
この反射材は、初夏に塗布すれば数ヶ月で流れ落ちるため、作業負荷の軽減にもつながっています。

3). 照明のLED化

夜間に点灯する照明のLED化を進めています。LED化により使用電力を大幅に削減することができます。

その他

当社代表の渡会理史氏は、「電照菊ナイトツアー」に代表されるように、業界全体のことを思い、積極的に部会に参加するなど、業界全体のマーケット拡大のため尽力しています。

結論

当農園は、経営で一番大切していることは、「しっかり稼ぐこと」との答えが印象的でした。
農業において、経済合理性と持続可能性の両立は十分可能であることがわかる好事例でした。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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