農事組合法人 香花園

  • 作物カーネーション
  • 地域香川県
当園概況

農事組合法人 香花園は、昭和49年に高松市の4軒の農家で設立された法人です。

現在、代表理事を務める真鍋さんの祖父が初代代表理事を務められ、現在は真鍋家を含む3軒の農家で構成されています。

本社である塩江町の農場は高松空港の南にある県山間部に位置しています。

また、令和3年3月に、新たに空港の北の平野部に農園を整備し、主にカーネーションの栽培を行っています。
カーネーションでは種苗から切り花まで一貫した栽培を行いながら、様々な取り組みを進めています。

硬質プラスチックフィルムのカーネーション栽培用ハウス(香南農場)

硬質プラスチックフィルムのカーネーション栽培用ハウス(香南農場)

カーネーション切り花の年間収穫量は約130万本、苗は約350万本を出荷しています。

切り花は北海道、東京、大阪、高松、姫路、高知の市場に出荷しており、一部、地元のスーパーにも販売しています。苗は種苗会社への卸しのほか、自社販売も行っています。

取材は代表理事の真鍋氏が責任者として運営をしている令和3年建設の香南農場で行いました。

仕分けスペースや冷蔵庫などがある管理棟

仕分けスペースや冷蔵庫などがある管理棟

代表理事の真鍋さん

代表理事の真鍋さん

当園の強み

新しいことを行う時は全員の意見が一致してからやります。

真鍋家では祖父・父・孫の三世代にわたり、残り2軒も親子で団結してカーネーション栽培に従事しており、このような経営は珍しいかと思います。

育種→苗生産→切り花生産をすべて一貫して行っているのも強みです。3軒の農家それぞれが得意な分野に携わっています。

3軒が切磋琢磨して高品質な生産物を出荷

「良い苗、良い花をお客様の下へ、誠実に届ける。」を目標に頑張っていこうと3軒の農家で相談をしながら、お互いを尊重してカーネーションを育てています。
花の持つ特性として、感動のきっかけをつくり、喜びと笑顔のあふれる暮らしを彩ることができると考えており、そのためにクオリティを意識して栽培を行っています。

県や地域と連携しながら成長

県のオリジナル品種のカーネーション「ミニティアラ」シリーズを積極的に試験栽培するなど、新しい試みにも挑戦しています。

香南農場も、農地の取得などのタイミングがうまく合致して、大規模な施設園芸を新たに始めることができました。地元の幼稚園などに花を届ける花育を以前から定期的に行っており、地域との交流を積極的に行っていたことも成長に役立ったと思います。

花にふれる機会を増やすことは、子どもたちの感性を豊かにする取り組みだと思います。今後、子供たちが大きくなった時に、何かの形で花開くことを願っています。

上からLEDを照射したカーネーションの栽培試験の列

上からLEDを照射したカーネーションの栽培試験の列

SDGsの取り組み

花卉栽培をするにあたり、SDGsを意識して新しいことをやるのではなく、今すでに取り組んでいることが項目に当てはまっているのかを確認しました。
わざわざ取り組むというのは大きな労力ですし、SDGsそのものを目的とするのではなく、持続的な経営を行っていくための一つの手法と考えており、振り返ると、以下が取り組んできたことになります。

全ての人に健康を福祉を

花の持つ癒しの効果で精神的なストレスの軽減を目指しています

ゴール5:ジェンダー平等を実現しよう

子育て世代のスタッフへの柔軟な勤務体系を確保し、教育訓練(花育)の機会も平等に行っています

ゴール6:安全な水とトイレを世界中に

農薬使用量の削減に取り組み、環境負荷のかからない水資源の確保に努めています

ゴール9:産業と技術革新の基盤を作ろう

ITを利用したモニタリングやハウス内環境制御を行い、資源を効率的に活用しています

ゴール12:つくる責任 つかう責任

植物残渣によってできた堆肥を、自社の農園や地域の畑作へ使用し、循環型の農業を行っています

省エネへの取り組み

1)ボイラーとヒートポンプによる制御

熱効率の高いヒートポンプと、施設内を速やかに適温にすることができるボイラーを併用し、それぞれの特徴を活かして冬季の加温を行うとともに、保温効率の高い内張被覆なども利用しながら、効率的にエネルギーを使っています。

ボイラーやヒートポンプを駆使し、ファンや保温用内張被覆なども動かして調整しながら、適度な環境を維持している

ボイラーやヒートポンプを駆使し、ファンや保温用内張被覆なども動かして調整しながら、適度な環境を維持している

2)立地

省エネ・脱炭素は高品質の苗・切り花の生産を意識してきた結果です。
花卉栽培施設を新たに整備する際、タイミング的にも立地や面積的にも合致した場所が、気温の低い山間部ではなく2~3℃気温の高い平野部になったことで、エネルギーの使用量やコストの低減につながりました。

 2haのハウス内にカーネーションが並ぶ

2haのハウス内にカーネーションが並ぶ

その他

山地にある農場での知見や経験、モニタリングで調査をしたデータなどの活用、さらに、これまでの国や県の研究といった情報を積極的に活用しています。
日没後に温度をあげて他の時間は下げるという日没後昇温(EOD-Heating)と呼ばれる技術など、挑戦可能な取り組みは積極的に取り入れ、最適解を模索しながら進めています。

結論

重油だけで加温する場合と比べ、ヒートポンプの併用で施設加温にかかる費用は半減しました。

さらにもともと山間部にあった農場と比べると平地に作った新しい農場は暖かく、暖房費の金額は半分程度に下がっており、エネルギーの使用量も削減できています。

これまでの取り組みの多くが、何らかのSDGsの目標に絡んでおり、スタッフ、地域社会や子どもたちとも連携した先には、さらに良い影響を与えることができるのではないか、そのような農事組合法人でありたいと思っています。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

皆様からのご連絡をお待ちしています

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