有限会社まごころ農場

  • 作物ミニトマト
  • 地域青森県
当社概況

有限会社まごころ農場(以下当社)は青森県でミニトマト栽培、加工、販売を行う6次化事業体です。斎藤社長は元JA職員でしたが、つくば科学博でトマトの水耕栽培の可能性に魅せられ、平成元年に就農しました。

新規就農に当たり既存のトマトプラントの購入ではコストが嵩むことからハウスを自分で施設した他、水耕栽培システムも独学で工夫を凝らしながら作り上げました。平成8年に法人成りし、平成17年にミニトマトを活用した加工事業に進出、平成24年には新工場を建設、ドライフルーツ製造ラインを導入し、現在の経営体制が出来上がりました。当社のトマトは大手コンビニチェーンの商材にも採用される等品質の良さは折り紙付きです。

農場部門については、ハウス24棟、年間生産量は110t強、従業員は7名(社長は除く。パート2名)になります。

美里グリーンベースの外観

美里グリーンベースの外観

当園の強み

当社のSDGsの取組においてユニークなものは、廃タイヤを活用した暖房システムです。地元で捨てるだけであった廃タイヤをプラスティック燃料として温水と蒸気を作り出し、クリーンなエネルギーに変換し活用しています。なお、廃タイヤの燃焼は高温で行われるため、大気汚染防止法の排ガス規制はクリアーしています。

SDGsの取り組み

当社ではSDGsに資する取り組みを数多く行っています。以下では、代表的な取り組みについて記載します(省エネルギーの取り組みは後述)。

次に、社長が独自に開発した水耕栽培システムも大変特徴があります。リンゴのアイスボックスを活用した独自のロックウールシステムは、市販品の2割程度という驚くべき低コストですが、性能は極めて実践的で優れており、培地を分離構造とすることで、万一病害が発生した場合でも、病害が発生したボックスを撤去するだけで、システム全体への蔓延を防止することができます。

また、培地全体を発泡スチロールで覆う構造のため、外気温の影響を最小限に抑え、夏場の高温期にも特に外部から冷却する必要なくベッド内の温度は25℃以下に保つことができます。そして、養液についてですが、独自に分析を重ね、最適な肥料配合体系を確立したことで、養液使用量を削減すると同時に廃液をなくすことも可能にしました。

病害防除については、できるだけ化学農薬を減らすことを心がけており、バチルス菌やトリコデルマ菌、天敵昆虫などの土壌改良剤や生物農薬を利用することで化学農薬の使用量を大幅に減らしています。

人材関連では、農場において障害者を雇用しており、いわゆる農福連携を実現しています。
さらには、地域ではトマトのハウス栽培を行いたい農家を受け入れて研修を実施する、加工事業を行うことで雇用を生み出している等地域との結びつきを強めています。

左:培地全体を発泡スチロールで覆う構造。右:分離構造

左:培地全体を発泡スチロールで覆う構造。右:分離構造

省エネへの取り組み

廃タイヤボイラーの活用により、A重油ボイラーに比べエネルギーコストを大幅に削減しています。

また、当社独自の発泡スチロールを活用した栽培システムの活用により夏場の冷却設備も不要です。

また何よりも、冬は暖房コストが大きく嵩むことから、冬季間はトマトの生産を行わないことも省エネの取組として特筆できます。
就農当初は通年でトマト栽培を行っていましたが、寒冷地での生産にはエネルギーコストも大きくかかることから、加工事業へ進出することにより生産条件が不利になる冬期のトマト栽培を停止することができています。

廃タイヤボイラーシステム

廃タイヤボイラーシステム

その他

当社は今年からリンゴ栽培にも取り組みます。これまで加工用のリンゴは仕入れ品で対応してきましたが、これからはリンゴ生産も自社で行うことで、6次産業化を完成させる予定です。

結論

独学で就農し、事業を拡大させてきた社長の創意工夫が随所にみられる経営です。

特に独自の水耕栽培システムはコスト抑制が動機だったのかもしれませんが、養液や排水の抑制および夏場の冷却設備も不要にする優れた栽培システムです。

SDGsの取組は儲からないと考える人も相応にいますが、コスト抑制の積み重ねが結果として環境負荷低減につながっています。

そして、事業を発展させることで周辺農家への影響や雇用を通じて地域経済へ貢献できていることも含め、優良な取組事例と言えます。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

皆様からのご連絡をお待ちしています

受付時間8:30-17:30 / 定休日:土・日・祝日

03-6675-9340 メールでのお問い合わせ