菊地園芸

  • 作物トマト
  • 地域神奈川
当社概況

当社は、1979年(昭和54年)に創業、JR相模線の寒川駅から徒歩30分の住宅に囲まれた一角に農場があります。生産品目をトマト一本に絞り、現在では主流となっている水耕栽培を先駆けて導入しました。

「安心・安全・安定供給、信用はお金で買えない」を経営理念に掲げ、JAを主要取引先とし、個人名:菊地弘幸を表記したトマトを40年以上供給しています。直近の収穫量は、70トン/年です。

栽培ハウスは全部で2棟(800坪)あり、そのうちの1棟が、温度や湿度などをコントロールし、栽培棚に液肥を自動で供給する環境制御型のハウスです。
これは、もともととあったハウスを約半年かけて建て替え、2017年春(平成29年)に完成させました。

2017年に完成したハウスの外観

2017年に完成したハウスの外観

ハウス内の写真

ハウス内の写真

当社の強み

当社の強みは、環境制御型のハウスの設計・製作を業者任せにしない、自前の技術です。
2017年春に完成した最新の施設は、すべて自社で設計し、図面化する作業は、CAD(コンピューターによる設計)を使いこなせる親戚に依頼しました。
図面ができると、施設資材を扱う業者に発注。業者からは「無理だよ。できっこないよ」と言われ続けましたが、「自社でできる」と答え、黙々と造り続けました。
また、天井の骨組みの設置やフィルム張りなどは、高所作業用のリフトを借りて行いました。更には、環境制御に必要な温度・時間を設定する温度調節器やタイマー等を使用する制御盤を内製しています。
他の強みとして、施設園芸でトマト生産に関わる最新の技術情報を入手できるネットワークがあります。
かながわスマート農業普及推進研究会に加え、環境制御型のハウスに関わる機器メーカー、ソフトウェア会社から、製品やサービスの開発段階でのヒアリングを受ける機会が多くあります。そのため、環境制御を効率化できる機器等を他社に先んじて試すことができます。

複合環境制御

複合環境制御

自社で内製した制御盤

自社で内製した制御盤

SDGsの取り組み

「3.すべての人に健康と福祉を」や「4.質の高い教育をみんなに」のSDGsのテーマに対し、下記の取り組みをしています。

1)障害者施設に対する取り組み

神奈川県の障害者の食品加工の施設に、通常出荷が難しいトマトを安価な価格で提供、トマトジュース用のトマトを供給しています。

2)地元の学校教育への参画

地元の学校給食へのトマトの供給に加え、課外授業の受け入れ先になっています。
課外授業では、作っているトマトのこと、販売先、施設園芸の特徴を説明、その後、どんな想いを持って仕事をしているのか等、児童からの素朴な疑問に答えるインタビューを受けています。

3)研修生の受け入れと継続指導の取り組み

研修生を毎年、1名を受け入れ、若手生産者の育成に力を入れています。
現在、神奈川県内で独立してトマト生産をしている教え子とは、現場の栽培に必要となるデータも共有しており、水やりのタイミングや量等の詳細な栽培方法を助言しています。

ハウス内の写真

ハウス内の写真

省エネへの取り組み

省エネの取り組みは、施設の環境制御、日々の温度設定のコントロールよりも、基本的にはハウスの構造やフィルム等の材料の選定を重視、施設をつくる前にこれらを検討し、省エネを見込んだ初期投資が重要と考え、実践しています。
この考えは、15年前にハウスの天井高を上げるため、柱を80センチ継ぎ足す工事を自社で行った経験から生まれています。現在では天井高の高いハウスは主流ですが、当時は、熱効率が悪くなり、エネルギー消費も増加し、省エネと逆行するイメージがあり、関係者から反対がありました。
しかし、天井を高くすることは、ハウス内の熱の循環が良好に働き、省エネに加えて、収穫量の増大が出来る効果が実証されました。

80センチ、継ぎ足した柱

80センチ、継ぎ足した柱

その他

誘引作業の負荷軽減のため、弱い力でひらくクリップを導入しました。トマトの茎は、天井からつり下げたひもに誘引クリップで留めています。
誘引作業は、茎を留めたクリップを一度外し、茎を引き下ろし、再度、同じくらいの高さで留めます。
最盛期には、1人が1日に誘引するトマトは約1,000本に上ります。
当社は、本クリップを利用し、負荷の高い、嫌がられる作業から脱却しました。本内容は、2019年(令和元年)7月9日の日本農業新聞に取り上げられました。

誘引作業の負荷軽減用のクリップ

誘引作業の負荷軽減用のクリップ

結論

「広い敷地面積のある地方とは異なり、大型ハウスを神奈川県で造るのは難しいため、小型ハウスを前提にする」「建設費をできるだけ抑える、農家の収入を増やすことを最優先の目標にする」という事業の前提があります。
そして、トマト栽培一筋で培った経験・知恵、技術を見る眼力、先駆者としてのチャレンジ精神が、自社の施設園芸を運営する源泉になっています。
また、「信用はお金で買えない」と言う企業理念が、おいしいトマトを安定供給する、消費者視点での取り組みと直結、更にはSDGsや省エネの取り組みへ展開しています。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

皆様からのご連絡をお待ちしています

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