エンカレッジファーミング株式会社

  • 関連会社有限会社鈴木農園
  • 作物トマト、パプリカ
  • 地域北海道
当社概況

当社は平成25年に創業。苗生産からスタートし、翌年からミニトマト栽培を始めました。
開始当初は病気や害虫に悩まされていましたが、農業先進国オランダを調査する中で「雪が降る新潟でも通年のハウス栽培は可能である」と確信した。

そして平成29年に農林水産省の「産地パワーアップ事業」の助成を受け、総工費11億円をかけて環境制御型栽培ハウスをオランダから導入しました。この施設は「H&B Garden」と名付けられ、日本海側最大級の温室ハウスとなっています。

「H&B Garden」外観

「H&B Garden」外観

現在当社のミニトマトの収穫量は約400t。主な販売先はJAが25%、量販店が25%、関東圏内が50%を占めています。また県内のスーパーでは「H&Bプレミアム」の商品名で販売を行っています。

取扱商品:「H&Bプレミアム」

取扱商品:「H&Bプレミアム」

当社の強み

当社のマーケティングにおける強みは、主に以下の2つあると考えられます。

1). 取扱品種

当社は苗生産からスタートしているために、苗の取り扱いについては精通しています。
そのノウハウを活かし何千種類もあるミニトマトの品種から、顧客ニーズや生産環境に合った品種を取り扱うことが可能となりました。

2). 作型

養液タンク

養液タンク

通常、ミニトマトは夏に栽培が難しいということから、8月以降は市場に出回るミニトマトの量は減る傾向にあります。

しかし当社は養液栽培の実施や環境制御システムを活用することにより、市場に出回りにくい夏にも安定して出荷が可能となりました。

SDGsの取り組み

当社が現在取り組んでいると考えられるSDGs(省エネ関連は後述)のターゲットと内容は、次の3つとなります。

1). ターゲット9.4「2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産   業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う」

当社は商品の梱包材の材料にリサイクル品を使用して、環境への配慮に取り組んでいる。

導入への背景には、取引先の量販店からの要望が強く、当然、これまでの流れを変えるのには社内でも反対の声が上がりました。

しかし社長の「顧客の声には最大限こたえる」「これからの時代にあった考えに合わせる」という考えのもと導入を決定しました。
強い販売力を持つ大型量販店との取引を実現する上では、このような取り組みが今後スタンダードになっていくと考えられます。

2). ターゲット8.5「2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。」

当社は当該ハウスの導入にあたり、「辛い、きつい、儲からないという農業のイメージを覆したい」という社長の思いから「重いものを持たない」「腰の曲げ伸ばしを最小限にする」と言った身体への負荷軽減を念頭に置いていました。

具体的な取組として「昇降機など作業の機械化を進める」ことや「棚を天井から吊るし、作業範囲を目線の高さに持っていく」などが挙げられます。

昇降機を使った作業

昇降機を使った作業

作業風景

作業風景

省エネへの取り組み

当社の省エネへの取り組みのターゲットは以下の通りです。

  • ターゲット7.3 「エネルギー効率を向上させる」
  • ターゲット3.9 「2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる」
  • ターゲット8.4 「2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る」

ターゲットに紐づく具体的な取り組み内容は以下の2つとなります。

1). 排出CO2の再利用

ボイラーを利用しハウスを温める際にLPGガスを使用しています。
その際に発生するCO2を一度タンクに集め、適正な濃度まで希釈したあとに再びハウスに放出しています。
この取り組みにより外部へのCO2排出をほぼ0にするだけでなく、通常使用する炭酸ガス購入のコストを削減でき生産性向上につながっています。

発生したCO2を貯めておくタンク

発生したCO2を貯めておくタンク

2). 複合環境制御システムの活用

オランダ「Priva社」の複合環境制御システムによって、温度・湿度・日射・水分などの温室内の栽培環境を常に最適化します。
また全てシステムに任せるわけではなく細かい微調整は人の目を使うことで最高の環境を維持することが可能となっています。
この取り組みにより、必要なエネルギーしか使用しないことが可能となっています。LPGガスの値段が高騰する中で燃料費が維持されていることに、その効果がみてとれます。

「Priva社」複合環境制御システム

「Priva社」複合環境制御システム

両取り組み共に導入のきっかけはコストに対する意識によるところが大きかったです。
また両取り組みともオランダ製の設備を使用していることで、為替変動リスクや運用・保守の手間など苦労した点もありました。

その他

当社はかつてギンナンが栽培されていたが現在は害虫発生や不法投棄につながっていた約6ヘクタールで買収を行いました。今後は再生した耕作放棄地で持続可能な農業を目指していくビジョンを持っています。

また、スマート農業推進への取り組みにも前向きで現在は「inaho株式会社」と協力してロボット技術を利用した農業の省力化に向けても準備を進めています。

結論

社名ともなっている「日本の農業を勇気づけたい」という思いを実現するために、さまざまな取り組みを行っています。環境への取り組みについては多くの事業者さま同様、はじめはコスト削減の意味合いだが、結果として十二分に環境に配慮された施設と感じました。

今後も農業の技術革新を進め高い生産性を維持していくのではないかと期待が膨らみます。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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