岡山県倉敷市船穂地区は明治時代からぶどうが栽培されているぶどうの産地で、当時は「キャンベル」などが栽培されていました。JA晴れの国岡山船穂町ぶどう部会の設立は昭和22年で、昭和26年には一般的に「マスカット」と呼ばれる「マスカット・オブ・アレキサンドリア(以下アレキ)」の栽培が始まります。
昭和31年には加温栽培が取り入れられ、昭和39年以降は農林水産省の農業構造改善事業などにより省力化や高品質生産の体制が整備され、マスカット団地が形成されてきました。
平成9年には10億円を超える売上高となりましたが、その後、景気後退等により売上高は激減します。この危機的状況を打破すべく「シャインマスカット」が導入され、アレキ栽培で培われた栽培技術を活かして高品質なシャインマスカットを生産、現在はシャインマスカットが主力品種となっています。
当部会は、先人たちのたゆまぬ研究と不屈の精神、それを引き継ぎ更に発展させた現代の部会員たちの研鑽に基づき、ぶどうの一大産地としての地位を確立し、令和4年の売上高は目標であった10億円を大幅に超え、11億2千万円となりました。
マスカット団地
マスカット団地(上方から)
当部会の強みは、これまで培ってきた高度な栽培技術を次世代に継承する仕組みを整え、新規参入者の受け入れを積極的に行うことで、産地としての基盤強化が図られていることです。
現在、部会員は約100戸で、60歳未満の部会員と後継者がいる部会員で部会面積の約6割を占め、活気あふれる部会となっています。
「マル船」ブランドの価値を維持するため、産地全体で栽培技術の向上に努めるほか、収穫前の検見や選果場での厳格な検査、また全農、市場との連携強化による有利販売の実現など数々の先進的な取組みが評価され、令和3年には第51回日本農業賞集団組織の部で大賞、令和4年には第61回農林水産祭にて日本農林漁業振興会会長賞を受賞しました。
第51回日本農業賞 集団組織の部 大賞受賞
(提供/JA晴れの国岡山)
施設園芸用暖房機メンテナンスと省エネ対策の研修会
(提供/JA晴れの国岡山)
当部会はぶどうの主要害虫で薬剤抵抗性を持ちやすいハダニ類に対し、天敵(ミヤコカブリダニ)を利用して農薬削減に取り組んでいます。
化学農薬であるハダニ剤の使用が導入前は1ハウスあたり年間3~6剤でしたが、導入後は1~2剤に減少しました。
また、バーク堆肥を大量に表層施用する船穂独自の栽培法により、樹勢の強化とともに、加温栽培に適した樹作りや栽培環境を実現しています。
これにより、化学肥料の施用が抑えられています。
すなわち、化学農薬や化学肥料の使用量削減により、人の健康や環境への悪影響を最小化しています。
天敵資材
自家製造した堆肥
変温管理の導入、循環扇の導入、自動開閉装置の導入、ヒートポンプの導入に加え、以前より隙間の改善(サーモグラフィーを活用して温度を点検)、被覆資材(空中二重構造フィルム、遮熱資材)の導入、内張二層の導入、ビニールの間の空間層を確保、排熱回収機の導入など様々な取組みを行い、エネルギーの使用量を削減し、エネルギー効率の改善に貢献しています。
自動開閉装置制御盤
ヒートポンプ
サーモグラフィーを活用した温度点検
排熱回収機
上述のとおり変温管理の導入、循環扇の導入、自動開閉装置の導入、ヒートポンプの導入などにより、エネルギー使用量の削減に努めています。
当部会の部会員は、安全・安心、コスト削減の観点から天敵の導入やヒートポンプの導入などを進めています。
栽培技術のみならず、新しい取組みもJAや県と協力しながら実施し、部会員間での情報を共有することにより、部会全体として化学農薬や化学肥料の使用量を削減、温室効果ガスの排出量の削減を実現しています。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています