農業生産法人 こもろ布引いちご園 株式会社

  • 作物イチゴ
  • 地域長野県
当社概況

いちご生産発祥の地とも言われる長野県小諸市で1998年に就農。1999年に法人化、2011年に株式会社化しました。「いちご狩り」、「いちごの生産販売」「苗の生産販売」を中心に事業を行っています。

経営理念「Family Communication ~いちごを通じて人に笑顔を提供しよう~ 」「日本一のいちごを作り続けよう」のもと、「お客様の満足」「ブランド」「工程管理」「品質管理」を4つの軸に据えてこれまで事業を拡大してきました。

現在、いちご生産販売事業における温室は36棟で栽培面積は2.5ha。直近の収穫量は80t(観光35t出荷45t)となっています。
また販路として農協出荷はなく、リゾートホテルや地元スーパー、地元のケーキ屋などに直販を行っています。

ハウス外観

ハウス外観

ハウス内観

ハウス内観

当社の強み

当社のマーケティングにおける強みは、主に以下の3つを挙げることができます。

1). 温度や日射量、二酸化炭素濃度、養液濃度などをセンサーで測定し、いちごの生育に適した気候や養液濃度になるよう自動的に調整するなど、データに基づいた生産管理を行っています。また「Global GAP」認証取得し消費者に対しての安心・安全を担保しています。

2). 地元ホテルやコンビニなどの有名ブランドへの納入や商品開発を通じて自社ブランドの認知度を向上させています。

取扱商品

取扱商品

3). 「Googleマイビジネス」などのツールを用いて積極的に情報発信を行っています。また。「Googleレビュー」の評価を社内での共通言語とし顧客満足度向上にむけた施策を全社で取り組んでいます。

SDGsの取り組み

現在取り組んでいると考えられるSDGs(省エネ関連は後述)のターゲットと内容は、次の4つとなります。

1). ターゲット6.3「2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。」

農薬散布についてIPMの観点に基づき天敵昆虫の導入や当社が開発した「門型噴霧機」(左写真)などを活用して効率性を高め、農薬使用量の削減に努めています。

「門型噴霧機」

「門型噴霧機」

2). ターゲット6.4「2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。」

データに基づき日射比例による給液を行っています。これにより大幅な節水に繋がっていると考えられます。

3). ターゲット4.4「2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。」

ターゲット8.5「2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。」

ターゲット2.3「2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる」

「風通しが良く、ものが言える」職場環境を目指し、どのようにすれば社会保障制度を遵守できるかを常に意識しています。
有給消化率75%の背景には、「有給取得の理由を聞かない」「学校行事や家庭事情を優先して欲しい」などのメッセージを働く方に伝えていることが挙げられます。
そして社会保険加入への積極的な取り組みや外部と連携してメンタルヘルスを推進するなど、従業員の心と体にも配慮しています。
また、県が主催した「トヨタ式カイゼン塾」の参加をきっかけに、トヨタ自動車の現場改善を取り入れ、そのノウハウを現場に落とし込み、ムダの徹底的な排除をする事で生産性向上に努めています。

4). ターゲット12.5 「2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。」

ゴミの分別方法を社内でルール化し徹底しています。

省エネへの取り組み

省エネへの取り組みのターゲットは以下のとおりです。

  • ターゲット7.3 「エネルギー効率を向上させる」
  • ターゲット3.9 「2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる」
  • ターゲット8.4 「2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る」

農林水産省生産局「施設園芸省エネルギー生産管理マニュアル」を基にターゲットに紐づく具体的な取り組みを行3つ行っています。

1). 気密性の向上

ハウス全面の外張被膜をスプリング留め具で固定することにより、保温効果が飛躍的に向上しました。(写真参照)

外張被膜をスプリング留め具で固定する

外張被膜をスプリング留め具で固定する

2). 温度ムラの改善

送風ダクトの配置を、できるだけ多くの送風量を確保するよう心がけました。

3). 暖房温度の変温管理

多段サーモ装置を活用することで作物の生理に合わせて、1日の温度管理を柔軟に行っています。

センサー

センサー

これらの取り組みの背景には、社長が「ゴーイングコンサーン」を強く意識している点にあると考えられます。
今後、国内だけでなく海外市場にも目を向けた際に、SDGsやGlobal GAPのような取り組みは企業が存続していく上では必要なことであると考えています。
また、経営面で考えても「いちご」は今後、国内・海外ともに伸びる市場であると考えており、投資に対するリターンは見込めると仰っていました。

その他

今現在、当社は長野県内でのイチゴ産出量のシェアが2~3%と見積もっており、プライスリーダーとなるためにも6%まで市場シェアを伸ばしたいと仰っていました。
そのために現在、補助金等を活用して加工部門を設立しており利益率の高い「へたどり冷凍イチゴ」の生産・販売を試みています。

結論

農業における生産面・経営面の両方で「ゴーイングコンサーン」を常に念頭においている印象です。

今回のレポートでは触れませんでしたが「観光農園事業」でもその意識は感じられました。

省エネ・生産性向上の施策についても、高額な投資をするのではなく小さなカイゼンを繰り返すことにより4年間で燃料費を約66%削減した実績があります。十分に参考になる事例と感じました。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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