SACiWATA(スマートアグリカルチャー磐田)

  • 作物パプリカ
  • 地域静岡県
同社概況

株式会社スマートアグリカルチャー磐田(以下、「SAC iWATA」)は、静岡県磐田市でパプリカを生産する農業生産法人です。
パプリカを栽培する大規模温室を2棟(1.2haと1.8ha)有し、正社員20名、パート45名、計65名でパプリカを生産しています。

SAC iWATAの概要(SAC iWATAホームページより

SAC iWATAの概要(SAC iWATAホームページより

SAC iWATAは、2016年4月に磐田市の「アグリ・バレー構想」に賛同した、富士通・オリックス・増田採種場の3社が中心となり、「磐田スマートアグリバレー」推進区域に設立しました。2021年には大和フード&アグリが株式譲渡により経営参画し、現在は大和証券グループとなっています。

「磐田スマートアグリバレー」推進区域は、東名高速道路遠州豊田パーキング南側に、茶園等であった土地14.67haを新たに整備した区域です。東名高速道路を挟んで北側には、大型商業施設(ららぽーと磐田)と磐田PA工業団地があり、スマートインターチェンジを備える遠州豊田パーキングから東京・名古屋方面にもアクセスが容易な立地にあります。

磐田スマートアグリバレー推進地域

磐田スマートアグリバレー推進地域

当社の強み

磐田スマートアグリバレーは、インターチェンジに至近という物流上の利点に加えて、農業・工業・商業の拠点が近接していることから都市ガスインフラが整備されており、温室の暖房には重油ではなくガスボイラが利用されています。

通常施設園芸で使用されるA重油に比べ、都市ガスは燃焼の際に生じるCO2の発生量は重油の1/4であるため、カーボンニュートラルの視点から非常に有利であると言えます。

この磐田スマートグリーンバレーには、SAC iWATAのほかに、葉物野菜を生産するTEN Green Factory株式会社、楽天ソシオビジネスが運営する人工光型植物工場なども所在しています。

SAC iWATAのパプリカ(通販サイトより)

SAC iWATAのパプリカ(通販サイトより)

創業当初はトマト、パプリカ、ケール等複数の品目を生産していましたが、現在ではパプリカに特化しています。静岡県の協力を得て、日本で初めて、GABAの機能性表示をパプリカで取得し、栄養を前面に押し出した営業を行っています。

また、ベル型のパプリカを「プリンセスパプリカ」、細型の「プリンセスパプリカ極甘」としてブランド化するなど、高品質、高付加価値のパプリカの生産に取り組んでいます。細型のパプリカは市場全体の2.5%程度しか流通していないため、ブランドを浸透させて新しい市場の開拓を目指しています。  パプリカの生産量は年間約600tに及び、その殆どを市場を通さず約50社の仲卸に相対で販売しています。また、近隣の生産者への技術指導と、生産されたパプリカを仕入れての販売も行っています。

久枝社長は、地域の産業として農業の事業性向上を図り、「良いものを適正価格で販売することで儲かる農業を実現したい」と語ります。
また、従業員の雇用を維持するため、週休2日の確保、成果と連動したインセンティブの付与など、サラリーマンと同等の労働環境を確保することで、従業員のモチベーションを維持するよう努めています。

SAC iWATAのパプリカ温室と温室内の高所で作業する社員

SAC iWATAのパプリカ温室と温室内の高所で作業する社員

省エネへの取り組み

SAC iWATAの温室はオランダのPriva社のオートメーションシステムを導入しており、当該システムによってすべての環境を複合的にコントロールし、植物に最適な環境条件を与えることで生産性を高めています。
加えて、温室内外の環境に応じた、天井スクリーンの活用による暖房効率の向上や、潅液の排液の回収/殺菌と再活用による肥料、水使用量の削減など、CO2排出削減の取り組みも、環境制御システムを活用して行っています。また、自走式農業用高所作業車や自動農薬散布機による労働生産性の向上も図られています。

温室の中SAC iWATAのパプリカ温室

温室の中SAC iWATAのパプリカ温室

自走式農業用高所作業車と農薬散布機

自走式農業用高所作業車と農薬散布機

その他

温室では、8月から苗の定植をはじめ、およそ4~5mの高さに仕立てられた株から、赤、黄、橙のパプリカを、11月から7月まで収穫し出荷しています。パプリカは色ごとに品種も異なるため、それぞれ異なる栽培管理を行っています。
冬期はガスボイラで暖められた温水を温室内に循環し加温、夏期(8月9月)は温度が上がりすぎるため栽培していません。

労務管理ソフトにより作業員の勤務状況を把握すると同時に、生産現場では記録用紙を設置し、全ての従業員が温室の状況を把握できるよう、デジタルとアナログを上手に活用しています。

久枝社長によると、「データ活用を行うためには、まず、温室の作業の標準化や設備管理適正化により、均一な植物を育てた上でデータ計測をすべき」であり、「データ品質の確保」が必要です。
スマート農業の普及によって、スマート農機、デバイスから様々なデータが取得できるようになりましたが、まずは均一な植物を生産するための生産現場の標準化が必要であると考えられています。事業譲渡から約1年、最先端のICT技術を活用した施設園芸において、新しい事業推進体制の下、持続可能な食料生産の基盤を確立し、更には情報を基盤とした経営モデルの確立にまい進しています。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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