株式会社北海道サラダパプリカ

  • 作物パプリカ
  • 地域北海道
当社概況

当社は富士電機株式会社の関連会社として2015年3月に設立されました。富士電機が植物工場事業分野への進出のために適地を探していたところ、釧路市の誘致があったことや隣接する王子マテリアからの蒸気供給が熱源として利用できることから、現在の場所に設立しました。

栽培品目にパプリカを選択した理由には、「輸入比率が高いもの」かつ「北海道の農家に影響を与えない」ことが挙げられます。

直近では、約2.3haの栽培面積に600tのパプリカを収穫しました。主な販路は仲卸業者となっています。

ハウス遠景

ハウス遠景

当社の強み

取扱商品

取扱商品

当社のマーケティングにおける強みとして「徹底的な品質向上に対する取り組み」が挙げられます。

具体的な内容は以下の4点になります。

1). 植物にストレスをかけない栽培方法

ダクトから微生物製剤を散布することで、「灰色かび病」や「うどんこ病」の抑制に取り組んでいる他、「ダニ」「カメムシ」などの天敵昆虫を害虫防除として利用しています。
これらの取り組みにより化学農薬を可能な限り減らしています。
また、使用する農薬につきましても天敵昆虫を殺さないようなマイルドなものに限定されています。
また、農場が立地している釧路地方は千島海流の影響により夏が冷涼で、農場の周囲には他の農家が存在せず病虫害の侵入頻度が低く抑えられています。

2). 総合的農薬管理の実践

1)の他にも農業改良普及センターの指導の下、化学農薬を減らす取り組みを様々な視点で実践しています。
一例として制服の色を以前のオレンジから臙脂色に変更しました。変更理由として、臙脂色は害虫が認識しづらく服に付きづらくハウス内に害虫を持ち込まなくなる効果があるとのことです。

3). オールアウト期間の導入

1年に3~4週間程度、植物がハウス内に何もない期間を設けています。
その期間に残渣の処理や・ハウス内消毒を徹底的に行うことで、病害虫発生のリスクを抑えています。

オールアウト作業時

オールアウト作業時

4). 補光照明の導入

補光照明にオランダの植物工場で実績が高く評価されている「HORTRION HPS」を採用しています。
これにより冬から春における太陽光の不足を補い成長速度が維持されています。

「HORTRION HPS」使用時

「HORTRION HPS」使用時

SDGsの取り組み

当社が現在取り組んでいると考えられるSDGs(省エネ関連は後述)のターゲットと内容は、次の4つとなります。

1). ターゲット4.4「2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。」

ターゲット8.5「2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。」

週休2日制・年間123日の休暇を定めている他に、出勤・残業などの強制を基本的になくしその日の労働力に見合った作業割り当てを行うなどフレキシブルな就労体制の構築を図っています。
又、人材教育に関しても個々人のレベルにあわせて、作業に対する考え方や具体的な作業方法だけでなく年に1回、食品衛生管理や作業の安全講習会なども実施し育成に努めています。

2). ターゲット2.3「2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる」

作業分担を細かく行うことで適材適所の人材配置を可能にしています。又、同時に作業の機械化を進めることで生産性の向上を図っています。

3). ターゲット6.4「2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。」

養液を送る際に、井戸水を利用すると共にロックウールからの排水も循環利用しているために外部への排水を極力削減しています。

4). ターゲット14.1「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。」

「ダニ」「カメムシ」などの天敵昆虫や微生物製剤を使い、化学農薬を極限まで減らした栽培方法を実践しています。

5). ターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」

廃棄品の一部をサプリメント会社や食品加工会社に販売し、食材ロスの削減に努めています。

省エネの取り組み

当社の省エネへの取り組みのターゲットは以下の通りです。

  • ターゲット7.3 「エネルギー効率を向上させる」
  • ターゲット3.d 「2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる」
  • ターゲット8.4 「2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る」

ターゲットに紐づく具体的な取り組み内容は以下の2つとなります。

1). オランダ式フェンロ―型温室ハウスの採用

フェンロ―型温室ハウスを採用することにより、太陽光線を効率的に利用し、加温に係る余分なエネルギーコストの削減に努めています。

ハウス内観

ハウス内観

2). 外部への排出CO2の削減

暖房設備として天然ガスボイラーを採用しており、排気されたCO2を冷却処理しハウス内へ循環利用しています。

これらの取り組みに対する背景には、「従業員が自分の働く会社に誇りを持つ」ことが会社経営にとっても従業員にとっても最も大事だという考えがあります。
従業員には会社がその活動や理念を通して社会とどう繋がり、どの貢献しているのかを常に意識して働いて欲しいと仰っていました。
こうしたミクロ視点の地に足着いた取り組みから、より大きなマクロ視点の社会貢献に繋がっていると感じます。

その他

当社は今後も常に品質向上に努めていくと同時に「釧路に愛されるパプリカであり続ける」ことで様々な地域貢献にも寄与していく予定です。

また今までに蓄積されたナレッジを体系化することで、若い世代のあこがれになる「次世代農業」をめざしたいと語っていました。

結論

省エネ設備の導入に際して難しいことの一つとして、一度大きな設備投資をしてしまうと後から小回りがききづらく不測の事態に柔軟に対応できなくなることとお話されていました。その為にSDGs関連も含めた事前評価の重要性を強調されておりました。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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