株式会社 新地アグリグリーン

  • 作物トマト
  • 地域福島県
同社概況

1995年に設立された前身の農業法人・新地グリーンファームを、前社長が2011年2月末に事業承継し、新地アグリグリーンと改名しました。
直後に東日本大震災に見舞われ、ガラス温室の1/4が倒壊するなどの被害を受けましたが、2014年に国の補助で再生。以降、三清水と呼ばれる水場付近の豊富な地下水を利用し、約6haの太陽光利用型植物工場にてトマトを栽培してきました。

2019年に前社長の急逝で新社長に就任した赤坂正人氏が、作業効率化や就労環境の改善を積極的に推進
2022年3月の福島県沖地震では暖房型ハウス2棟が倒壊しましたが無理に再建せず、残ったハウスも燃料費がかさむ冬場は栽培を休止するなど、収益性を意識した堅実な経営に取り組んでいます

「新地アグリグリーン」で働く皆さん

「新地アグリグリーン」で働く皆さん

「新地アグリグリーン」で働く皆さん

栽培品種はフルティカ、シシリアン、サンマルツァーノリゼルバの3品種。フルティカは冬季に高糖度に仕上げ、「うまかろうフルティカ」として販売している。

収穫量は1反あたり10t前後で、販売額は1.8億円。主な販売先は東京青果などです。
楽天市場での通販も行っていましたが、22年の地震の被害で収穫量が減ってしまったため、現在は休止しています。

同社の強み

同社のマーケティングにおける強みは、「作業効率化」「柔軟な労働シフト」「営農努力」の3つであると考えられます。

1).作業効率化

人手不足解消と人件費抑制のため、作業効率化に取り組んでいます。具体的にはシンプルで分かりやすい作業指示書の作成です。
例えば葉の選定も「2枚取る」や、誘引も「3〜4回巻きつける」など、数字を明記して、かつ手順を丁寧に伝えるようにしています。
それにより、外国人や派遣社員、障害者でも作業を理解しやすいという成果が出ています。

2).柔軟な労働シフト

就業時間や休みの取得ルールを柔軟にすることで、子育て世代やプライベートを重視したい若者世代の定着率アップを図っています。
また、繁忙期の夏のみ派遣社員を採用するなど、全体の人件費抑制にも取り組んでいます。

3).営農努力

現社長は営業職だったこともあり、利益を出そうという意識が明確です。実際、2014年に常務に就任して以来、上記1)や2)のような改善に取り組んでいます。
セミナー等にも積極的に参加し、そこで学んだことをすぐに取り入れるフットワークの軽さもあります(農福連携等)。
ホームページや看板のデザインにも凝るなど、少しでも若者の目に農業が魅力的に映るよう、日々創意工夫を行っています。

若者の目も映えそうな、おしゃれな看板

若者の目も映えそうな、おしゃれな看板

SDGsの取り組み

同社のSDGsの取り組みは主に「ダイバーシティの推進」「環境負荷の低減」「エネルギー使用の削減」です。後者については次の【省エネへの取りhttps://amujp-net.adc.cloud/wp/wp-admin/media-upload.php?post_id=458&type=image&TB_iframe=1組み】にて後述します。

1).ダイバーシティの推進

同社では、10代から70代後半まで幅広い年代の人たちが働いています。属性もベテラン農業者から異業種参入組、主婦、子育て世代、外国人技能実習生、障害者など様々です。

そうした状況で、誰もが働きやすい職場を作り、かつ会社の競争力を高めるのは大変ではありますが、それぞれのバランスを上手く取りながら推進しています。
例えば、作業指示書は熟練度や身体的ハンデに関係なく一定の作業成果が出るという点で「働きやすさ」に、柔軟な労働シフトは働く側の「ワーク・ライフ・バランス」の実現に繋がると考えられます。

2).環境負荷の低減

農薬の選定においては、より環境負荷の少ない物を選ぶようにしています。
害虫の駆除については、粘着テープや天敵を活用して、殺虫剤の使用料を減らすようにしています。

省エネへの取り組み

同社の省エネに対しての取り組みは主に「エネルギー使用の削減」が挙げられます。

1).エネルギー使用の削減

現社長は、取締役に就任した時から、燃料使用の削減が課題であると感じ、取り組んできました。具体的には、既存の温湯管設備を完全停止。
代替策として、屋根にビニールシートを掛けて保温効果を高める、循環扇を増やして暖気の循環効率を上げる等を行ってきました。

さらに22年の福島沖地震で暖房型ハウスが倒壊したことによる使用量削減もあって、当初3,000万円ほどあった光熱費を100万円までダウンすることに成功しました。

新地アグリグリーンのハウス

新地アグリグリーンのハウス

ハウス内の循環扇

ハウス内の循環扇

その他

近所の福祉施設に通う障害者の方に作業を手伝ってもらうなど、いわゆる農福連携にも力を入れ始めています。
また、今後は養液の循環システムを導入して、養液使用量の削減を実現したいと考えています。

結論

尊敬している経営者の中の1人に和郷園の木内博一氏を挙げており、「農業で利益を出す」というビジョンが明確です。
ただ、度重なる地震被害、燃料費高騰などにより、なかなか結果に結びついていないのが現状です。しかし大胆なコスト削減施策などにより、利益率も少しずつ上向いています。
今後、ブランド開拓や商品化など6次産業化に取り組めば、元々経営意識の高い社長だけに、持続可能性の高い農業経営の実現が大いに期待できます。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

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