農協の葬祭センターの人材採用は、求人票の中身を充実させるところから | 合同会社AMU経営研究所

農協の葬祭センターの人材採用は、求人票の中身を充実させるところから

主任研究員 石原学
監修・執筆主任研究員 石原学
農協の葬祭センターの人材採用は、求人票の中身を充実させるところから

農協には「JA葬祭センター」という葬儀一式を担う部門があります。現在この分野では人手不足が大きな課題となっています。

葬儀の需要は死亡者数の増加とともに高まっており、20年前と比較すると葬祭業全体の従業者数も増加しています。ただし、従業者数の増加よりも、施行件数が大きく増加しており慢性的な人手不足となっています
特に、正社員1人あたりの施行件数は20年前の1.5倍に膨んでおり、負担が増しています。現場の負担を減らすために採用に力を入れても求人倍率が高く、思うように人材が集まりません。

しかし農協の葬祭部門には他社とは違う大きな強みがあります。それは地元に根差した信頼感と、農協という大組織の安定性です。この土台があるからこそ、採用の基盤をしっかり整えれば必ず人材は集まるといえます。では何を改善すれば結果が変わるでしょうか。

求職者の目線で情報を整える

最初に取り組むべきは求人票・求人情報の整備です。①ハローワーク、②マイナビなどの求人ポータル、③農協ホームページに掲載している条件がバラバラでは求職者は不安になります。ここの記載内容をまず統一しましょう。

また、どんなに①や②で魅力的な内容を書いていても、③に情報がないと応募意欲は削がれてしまいます。本当に募集されているか確定できず、応募する側は不安になるからです。農協には様々な部門がありますので、しっかりと「JA葬祭センターで求人をしている」という情報を③に掲載しましょう。

①の求人票にも、公開できる待遇・条件はなるべく多く入れ込みましょう。情報掲載は「興味を持ってくれた求職者が安心して応募できる」状態を目標に整えてみてください。

バラバラよりも統一された情報、不足するより充実した情報のほうが安心してもらえます。非常に基本的ですが大切な作業です。

求職者に刺さるメッセージを打ち出す

次に、求職者に響く内容を盛り込みます。特に葬祭業の場合、家族の死や葬儀で助けられた経験がある人には仕事の価値が伝わっています。
この経験から応募してきた方々は「自分も人の役に立ちたい」という思いを持っているので、この層に響くメッセージを明確に打ち出すと採用成功につながりやすいです。

メッセージは、採用担当者が考えるより、実際に現場で働いている社員に聞くほうが早く見つかります。「この仕事の魅力は何か」「どんなときにやりがいを感じるか」をヒアリングしてみてください。求職者が知りたいリアルな現場の声が見えてくるはずです。

そこで明らかになった現場の声を求人サイトへ記載すれば、強力なメッセージになります。
現場の声は仕事を探す方々にとって一番近く、働いた姿をイメージでき、就職時の不安を払拭できる可能性が高いからです。

葬祭の仕事では、多くの人が「ありがとう」と直接言ってもらえたときにやりがいを感じるといいます。また、農協であれば転勤がないこと、自転車で通えるほどの近さなども魅力になります。小さくとも嘘偽りのない「自社ならでは」の求職者に刺さるメッセージを探してみてください。

農協内の他部門との差別化も意識する

農協での求人で難しいのは、自部門以外の求人も必ず目に入ってしまう点です。各農協ホームページの求人情報では、葬祭センターは下の方に位置しているか、本当は募集しているのに情報が掲載されていないことがあります。たとえ数行でも「葬祭ディレクター」など必要な職種と採用条件を記載してもらい、最低限でも「募集中」だと明示しましょう。

その上で「葬祭の仕事」の魅力をしっかり書きます。先ほどの「ありがとう」と涙ながらに直接感謝される経験は、他部門とも異なる、葬祭ディレクターならではの価値といえます。他社のほか、自社の他部門と比べての優位性も意識してみてください。



農協の葬祭部門は地域に深く根ざし、人生の節目に関わる尊い仕事です。長年お世話になった方々を送り出す大切な役目も担います。この強みをしっかり伝えるため、まずは「求人票の中身を充実させる」ところから実践してみてください。それだけでも採用の成果は変わります。

どのように進めてよいか分からない、ヒアリングが難しいなどの悩みがありましたらご相談ください。皆さんの状況に合わせた方法をアドバイスできます。

次の世代のために一歩前へ進みましょう。

皆様からのご連絡をお待ちしています

受付時間8:30-17:30 / 定休日:土・日・祝日

03-6675-9340 メールでのお問い合わせ