ムリ・ムラ・ムダの削減
食品工場では、食品ロス(フードロス)対策が大きな課題です。原材料費や光熱費、人件費に直結するため、少しでも無駄を減らしたいと現場は常に努力しています。
食品ロスには主に2つの種類があります。1つは、生産過程で出てしまう部分です。例えば野菜の皮や芯、肉の骨や脂身など、人の食用に適さない部分は廃棄せざるを得ません。
もう1つは製造工程での揺らぎです。返品や作り損じに備えて必要量から若干多めに作るのが一般的ですが、それが余剰となり、どうしても無駄になってしまいます。
ロスで生じた部分を加工し、肥料や動物の餌に回すケースもあります。しかしこれには輸送コストや加工の手間がかかります。
販売用のジャムや冷凍食品にすることも可能ですが、工場にとって非常に苦手な分野も一緒に考えなければいけません。それは販路の開拓です。
「加工できるけれど売り先がない」というのが現場の最大のボトルネックといえるでしょう。営業担当も人手不足から主力商材以外に注力する余裕がないため、現場の工場長たちは「試作品はできても先へ進めない」と悩んできました。
そんな現場を支える一社が、埼玉県に拠点を置く企業「アストラフードプラン」社です。
サイト:https://www.astra-fp.com/
この会社には、過熱水蒸気を活用して高品質な粉末(食品パウダー)を作る技術力があります。独自の「過熱蒸煎機」を開発し、300〜500℃の過熱水蒸気を5〜10秒当てることで材料の乾燥と殺菌を同時に実現させました。過熱水蒸気の加工法だけなら昔からある技術でありますが、アストラフードプラン社の特筆すべき点は、加工した粉末の販路開拓まで引き受けてくれるところです。
例えば吉野家ではこの「加熱蒸煎機」を導入し、玉ねぎの外皮や根の部分を粉末化したものをアストラフードプランが引き受け、パン屋に卸しています。従来なら廃棄物になるものが風味を増す素材として生まれ変わり、付加価値につながっているのです。
もちろん課題もあります。「過熱蒸煎機」の導入時は数千万円の投資が必要です。また、ボイラーの蒸気や電力などのエネルギーコスト、メンテナンス費用もかかります。扱う量は端物なので大規模な売上は期待できず、償却までの期間は通常の製造設備のような5年程度ではなく、10年、15年といった長期計画になります。
とはいえ、現代の企業にとって「無駄を出さない」「資源を大切にする」という姿勢は、企業価値を高める重要な要素です。SDGsへの関心の高まりは、こうした取り組みを支える大きな後押しになっています。社会や取引先に対して「ここに挑戦している」と胸を張って言えれば、ブランド価値向上にもつながります。
工場長をはじめ少人数の生産現場では毎日多忙を極め、見通しが立ちにくい新規事業や販路開拓にはなかなか手が回りません。そのため理想は理解できても食品ロス削減の取組を現場から見ると、本社からの提案も無茶ぶりと感じてしまうかもしれません。
その点、アストラフードプラン社のような外部パートナーは現場の負担を最小限に抑え、食品ロス問題を技術と仕組みで解決してくれる強力な助っ人です。単なる加工設備の提供にとどまらず、出口まで用意してくれる仕組みは他にはなかなか見られない特長です。
食品ロスで困っている食品工場にはぜひ一度知ってもらいたい取り組みです。
食品ロス対策に重要なのは、設備投資の検討だけではありません。加工後の出口まで一貫して検討し、計画を立てることが大切です。まずは現場で何が起こっているのかロスの現状を把握するだけでなく、販売可能性の調査、販売ルートの確保をして実践に移りましょう。
次の世代のために一歩前へ進みましょう。
皆様からのご連絡をお待ちしています